水道哲学とは|松下幸之助はブランドをつくろうとしなかった
松下幸之助は、ブランドをつくろうとはしていませんでした。
この記事の結論
水道哲学とは、松下幸之助さんが掲げた「水道の水のように、良いものを安く、誰もが手にできる社会をつくる」という考え方です。松下さんは、ブランドをつくろうとしたわけではありません。哲学を貫いた結果として、「ナショナルなら安心」というブランドが生まれました。ブランドより先に、哲学があるのです。
「ブランディングを始めたい。まずロゴから変えようか」
そう考える経営者の方に、ぜひ知ってほしい言葉があります。パナソニック(旧・松下電器)の創業者、松下幸之助さんの「水道哲学」です。
1. 会社の「らしさ」は3つでできている

会社の「らしさ」(コーポレートアイデンティティ)は、3つでできています。
- 見た目(VI):ロゴ、色、デザイン
- 行動(BI):社員の行動、会社としての振る舞い
- 考え方(MI):理念、哲学
多くの会社は、見た目から手をつけます。でも本当は、考え方(哲学)が行動を生み、行動が見た目に表れるのです。
哲学がそろっていないと、Aさん、Bさん、Cさんがそれぞれ違うことをして、組織の力が出ません。見た目だけ整えても、中身はばらばらのままです。
2. 水道哲学とは何か

松下さんの時代の日本は、とても貧しい国でした。冷蔵庫や洗濯機は、お金持ちしか持てないぜいたく品でした。
松下さんは考えました。道ばたの水道の水は、誰が飲んでもとがめられない。それは、水がたくさんあって安いからだ。それなら、生活に必要な品物も、水道の水のようにたくさんつくって安く届ければ、人々の暮らしは豊かになる。
これが「水道哲学」です。
ただ安くするのではありません。良いものを、安く、誰もが手にできるように。それが産業人の使命だと、松下さんは考えました。
3. ブランドは、哲学の「結果」だった

松下電器の製品は、「ナショナル」という名前で親しまれました。そして多くの人が、「ナショナルなら良いもの」と感じるようになりました。
ここで大切なのは、松下さんがブランドをつくろうとしたわけではないことです。
- 良いものをつくる
- 利益を出しながら、できるだけ安く届ける
- 人々の暮らしを良くする
この哲学を、毎日の仕事で貫いた。その結果として、ブランドが生まれたのです。
この考え方は、いまのパナソニックのスローガン「A Better Life, A Better World」にも受け継がれています。
4. 哲学は、組織を通じてブランドになる

哲学は、社長の頭の中にあるだけでは、ブランドになりません。
社員一人ひとりが哲学を理解し、自分の仕事で行動に移す。その行動が、お客様にふれる商品やサービス、言葉やデザインに表れる。こうして、哲学がブランドになっていきます。
だから、組織づくりとインナーブランディングは、ブランディングに欠かせません。
5. 4つの要素で見る水道哲学

ブランディングの4つの要素で見ると、こうなります。4つは、おたがいに影響しあっています。
- 哲学:水道哲学。良いものを安く、誰もが手にできる社会へ
- 戦略:たくさんつくり、価格を下げ、多くの家庭に届ける
- 組織:哲学を共有し、同じ方向を向いて働く社員
- コミュニケーション:「ナショナルなら安心」という信頼。広告より先に、製品と行動で伝わった
中小企業が、水道哲学から学べること
規模は違っても、学べることは同じです。
ブランドは、ロゴや広告から始まるのではありません。「私たちは、世の中の何を良くしたいのか」という哲学から始まります。その哲学を毎日の仕事で貫けば、ブランドは結果としてついてきます。
今日からできる、3つの問い

- あなたの会社は、誰の、どんな暮らしを良くしたいのですか?
- その考え方は、社員の毎日の行動に表れていますか?
- ロゴや見た目より先に、言葉にすべき哲学はありませんか?
よくある質問
Q. 水道哲学とは何ですか?
松下幸之助さんが掲げた考え方で、「水道の水のように、生活に必要な良いものを、たくさんつくって安く届け、誰もが手にできる社会をつくる」というものです。
Q. 水道哲学はブランディングとどう関係しますか?
松下さんはブランドをつくろうとしたのではなく、哲学を貫いた結果として「ナショナルなら安心」というブランドが生まれました。ブランドは哲学の結果である、という例です。
Q. CI(コーポレートアイデンティティ)とは何ですか?
会社の「らしさ」のことで、見た目(VI)、行動(BI)、考え方(MI)の3つでできています。考え方が行動を生み、行動が見た目に表れます。
Q. 中小企業でも、水道哲学のような哲学はつくれますか?
つくれます。「誰の、どんな暮らしを良くしたいのか」を社長が言葉にし、社員と共有することから始めます。
この記事の内容は、YouTubeでもお話ししています。
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