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理念経営とは?スノーピークに学ぶ、理念で市場そのものを変える経営

この記事の結論
理念経営とは、会社の理念を、商品づくりと日々の判断と社員の行動の軸に置く経営です。スノーピークの公式な沿革を読むと、理念は額の中の言葉ではなく、市場の定義そのものを変えた力でした。若者のものというイメージだったキャンプを「家族の絆を深める豊かな時間」ととらえ直し、今までなかった道具をつくった。私は、理念経営の価値を、理念が、売る場所までつくってしまうことだと読みます。

「理念経営とは何か」

そう調べている経営者の方に向けて、スノーピークが公式に公開している沿革を、年表で読みます。


1. 理念経営とは

理念経営は、理念を掲げるだけの経営ではありません。理念が、何を売るか、何をやめるか、誰を採るかの判断に使われている経営です。額に飾ってあっても、迷った日の判断に使われていなければ、理念経営とは言えないと、私は考えます。

▶ 関連記事:企業理念 例|ふくや・ホッピーに学ぶ、迷ったときに効く理念

2. スノーピークの公式な沿革

キャンプの定義が変わった

スノーピークの公式サイトの沿革から、主なものを並べます。

1958年
できごと:初代・山井幸雄が、金物問屋として創業。登山家でもあり、当時の道具に満足できず、「本当に欲しいものを自分でつくる」という志で、オリジナルの登山用品を開発。燕三条の職人の技術を活かした

1963年
できごと:「スノーピーク」を商標登録

1976年
できごと:自社工場

1986年
できごと:息子の山井太さん(現会長)が入社。キャンプを「家族の絆を深める豊かな時間」ととらえ直し、オートキャンプのブランドへ。「焚火台」など今までなかった製品で、オートキャンプのブームを牽引

公式サイトは、使命を「人間性の回復」、スローガンを「人生に、野遊びを。」と書いています。企業理念「The Snow Peak Way」は、「私達は、地球上の全てのものに良い影響を与えます。」で締めくくられています。

3. 理念が、市場の定義を変えた

ここからは、私の読みです。

公式の沿革によると、1986年の時点で、キャンプは若者のものというイメージだったと読めます。そこに、「家族の絆を深める豊かな時間」という定義を持ち込んだ。同じキャンプ場、同じテントでも、意味が変わります。意味が変われば、必要な道具が変わります。だから、今までなかった「焚火台」のような製品が生まれた。

先代の「本当に欲しいものを自分でつくる」という志と、2代目の「家族の豊かな時間」という定義。2つは別の言葉ですが、自分たちが本当に良いと思うものを、人の暮らしの中に置くという点でつながっています。理念は、世代をこえて、新しい事業を生む軸になりました。

4. 理念経営を、4つの要素で読む

私は、ブランディングとは経営の全てであり、その活動であると考えています。理念経営は、4つの要素のすべてが、理念につながっている状態です。

  • 哲学: 何のために存在するのか。使命「人間性の回復」が、この会社の答えです
  • 戦略: どうすれば、戦わずに選ばれるか。キャンプの定義を変えたことで、既存の道具メーカーと同じ土俵で戦わない場所をつくりました
  • 組織: 同じ方向を向いて、実現できるか。燕三条の職人の技術と、創業者の志が、製品づくりの土台です
  • コミュニケーション: お客様に、どんな気持ちを抱いてほしいか。「家族の絆を深める豊かな時間」が、その答えです

4つは、どこからでも入れて、どこへでも戻れます。理念を使って事業をつくる経験が、理念の言葉をさらに磨き直します。

戦わないブランディングの定義は、こちらの記事に書いています。理念からつくった市場は、他社がすぐにはまねできません。理念からつくった市場は、他社がすぐにはまねできません。

私は、シェフとキッチンで言えば、キッチンのいちばん深いところに理念があると考えます。シェフは、他社と違ったことを「行う」こと。キッチンは、他社と違ったものを「持つ」こと。理念は、その両方に同じ方向を示す、一本の軸です。

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私たちが主催するフェス・リエゾンのロゴは、以前は、なんとなくの感性でつくっていました。かわいい、かっこいい。定義されていない感覚です。それをやめて、自分たちの姿勢と哲学を見つめ直し、中核概念を「心を高め、文化を創る|Cultivate your mind」と決めました。決めてからは、ロゴの意味を、名刺交換の10秒で説明できます。理念経営の入口は、立派な文章ではなく、迷ったときに戻れる一言を決めることだと、私は考えます。

中小企業が、理念経営を始める方法

理念経営を始める手順

売上の大小に関わらず、始め方は同じです。

  • 自社の商品が、お客様のどんな時間をつくっているかを書く。 スノーピークの「家族の豊かな時間」のように、商品ではなく、時間や気持ちで書きます
  • 業界で当たり前とされている定義を、一つ書き出す。 そのうえで、自社はそれを違う言葉で定義できないか考えます
  • 理念に照らして、やめることを一つ決める。 理念経営は、やることを増やす前に、やめることを決めます
  • 迷った判断の場で、理念を声に出して使う。 使った経験から、言葉を磨き直します

理念経営の出来は、理念が、売る場所と、やめることまで決めているかで測れます。

地域の中小企業のブランディングについては、ブランディング会社のページで、考え方と進め方をまとめています。


よくある質問

Q. 理念経営と、ブランディングは何が違いますか?

私は、ブランディングを経営の全てだと考えています。理念経営は、そのうち、哲学(理念)を軸に、4つの要素を動かす経営のしかたです。

Q. 理念経営は、大企業だけのものですか?

いいえ。スノーピークも、金物問屋の創業から始まっています。理念が、商品と判断に使われているかどうかが大事です。

Q. 理念と、経営理念と、企業理念は違いますか?

会社によって、呼び方が違います。呼び名より、判断の場で使われているかを見てください。


この記事は、スノーピークの公式サイトをもとに、私の見方で読み解いたものです。

出典:スノーピーク「沿革」

株式会社オムニモスーク 代表 安田旬佑