ホーム / MEDIA

MEDIA

社内報とは?経営者のための、理念を届ける道具としての社内報|パナソニックの公式から読む

この記事の結論
社内報とは、会社の考えや社員の活動を、社内に共有するための媒体です。パナソニックは公式のお知らせで、社内報の歴史が、創業者の松下幸之助が1927年に『歩一会々誌』を発刊したところに始まる、100年近いものだと書いています。2024年には、その社内報を、社外の人も読めるグループマガジンに刷新しました。私は、社内報を社員の連絡帳ではなく、経営者が理念を伝え続けるための道具だと考えます。

「社内報を作ることになったが、何を載せればいいのか」

社内報の担当者の方にも、これから始めようとしている経営者の方にも、公式に公開されている事例を、そのまま読んでいきます。


1. 社内報とは

社内報とは、会社の方針、事業の状況、社員の活動などを、社内に伝える定期の媒体です。紙でも、ウェブでも、動画でも形は自由です。この記事では、形より、何のために、何を伝え続けるかで読みます。

経営者・ブランド管理者向けThe Art of Branding 無料説明会次回勉強会のテーマ 「ブランディングに必須のアート思考とは」無料で申し込む

2. パナソニックの公式のお知らせで読める事実

パナソニックの社内報の年表

パナソニックのニュースサイトの記載から、主なものを並べます。

1927年
公式に書かれていること:創業者・松下幸之助が『歩一会々誌』を発刊。社内報の歴史は100年近く。経営基本方針や社員の活動を社内で共有し、企業文化の形成に貢献してきた

2022年6月
公式に書かれていること:ブランドスローガン「幸せの、チカラに。」を冠して発行されるようになった

2024年3月22日
公式に書かれていること:社外の人も広く読める、オープンなグループコミュニケーションマガジンにリニューアル。コンセプトは「パナソニックグループの『ひと』と出会う」

新しい媒体は、「みる」「よむ」「たのしむ・まなぶ」「Magazine」の4つのカテゴリーで構成されています。公式は、目的を、社員の家族、お客様、取引先、グループの活動に関心を持つ人々と、より積極的にコミュニケーションをとることと、事業や経営の現状、経営基本方針、歴史を、分かりやすく伝えることと書いています。

3. 社内報は、いつの間にか「外」に開かれた

ここからは、私の読みです。

1927年の社内報は、社員に向けた会誌でした。2024年の新しい社内報は、社員の家族、お客様、取引先にも開かれています。社内に伝えることと、社外に伝えることの間にあった壁を、低くしたように見えます。

社員が読むものは、同時に、社外の人が会社を知る入口にもなる。そう考えると、社内報の書き方は変わります。社内にだけ通じる言葉は、そのまま外には出せません。外の人が読んでも分かる言葉で、会社の考えを書くことが、結果として社員にも伝わりやすくなります。

4. 経営者の言葉:理念は「伝え続けるもの」

ここからは、私自身の考えです。

私は、経営理念は「あるもの」ではなく「伝え続けるもの」だと考えています。経営理念は、紙の上にあるだけでは、従業員に浸透しません。何度も何度も伝え続けることで、はじめて従業員の心に届きます。

そのために必要なのが、共通言語です。会社の大切な考え方を言葉にして、書き残す。そうすれば、社長と従業員が、同じ言葉を使えます。言葉に思いがのっているから、伝わります。

最初の言葉が完璧である必要はありません。何度も直して、熟成させる。そして、その言葉が従業員に好き好んで食べてもらえるように、丁寧に調理することも、経営者の仕事です。

感謝の気持ちを伝えることも、大事なコミュニケーションです。感謝は、言葉だけでなく、行動で示す。社内報は、その両方を、毎号、積み重ねられる場所になります。

▶ 関連記事:企業理念が浸透する会社としない会社の違い|言葉でなく行動になる

5. 社内報を、4つの要素で読む

私は、ブランディングとは経営の全てであり、その活動であると考えています。社内報は、4つの要素のうち、組織の言葉が最も多く集まる場所です。

  • 組織: 同じ方向を向いて、実現できるか。社内報は、社員が同じ言葉で、同じ方向を確かめる場所です
  • 哲学: 何のために存在するのか。理念を、毎号の記事で、具体の場面に置きなおします
  • コミュニケーション: お客様に、どんな気持ちを抱いてほしいか。社員の働く姿を伝えることが、社外の人の印象にもつながります(パナソニックは、社外にも公開しました)
  • 戦略: どうすれば、戦わずに選ばれるか。会社の歩みと考え方を、毎号、同じ軸で書き続けること自体が、他社と違う会社の姿になります

4つは、読み手と書き手のあいだでも行き来します。社内報を書く経験が、理念の言葉を、もう一度磨き直します。

戦わないブランディングの定義は、こちらの記事に書いています。社内報は、この「ヒト」と「情報」を、同じ方向に向けるための道具になります。

▶ 関連記事:インナーブランディングの進め方|社員と会社の向く先をそろえる

▶ 関連記事:インナーブランディングの事例|資さんうどんに学ぶ、従業員への感謝を看板に刻む


中小企業の社内報の始め方

社内報の始め方

社員が数十人の会社でも、社内報は始められます。

私は、創業期に、初めての従業員を迎えました。仲間ができたと、嬉しかった。けれど、育て方が分からず、1人目は、すぐに辞めていきました。いまなら分かります。考え方をそろえる前に、人を引っ張れると思っていた私が、いけなかった。社内報は、その「そろえる」を、毎号、続ける道具になります。

  • まず、伝え続けたい言葉を一つ決める。 理念でも、判断の基準でも構いません。社内報は、その言葉の置き場です
  • 毎号、その言葉が出た場面を一つ載せる。 社員の仕事のひとコマで十分です
  • 経営者が、自分の言葉で書く欄をつくる。 代筆ではなく、考えていることを短く
  • 社員の声を、一人分だけ載せる。 読む人が自分ごととして受け取れます
  • 続けられる頻度で出す。 続かない社内報は、伝え続けることになりません

社内報の出来は、社員が、会社の言葉を自分の口で言えるようになったかで測れます。

地域の中小企業のブランディングについては、ブランディング会社のページで、考え方と進め方をまとめています。


よくある質問

Q. 社内報は、紙とウェブのどちらがよいですか?

この記事では、形式の優劣は扱いません。パナソニックの例では、動画やグラフィックで伝えるカテゴリーも、季刊の大型特集も、同じ媒体の中にあります。読み手に合わせて、続けられる形を選んでください。

Q. 社内報を社外にも公開したほうがよいですか?

パナソニックは、2024年に社外にも公開しました。会社によって、事情は違います。社外に出すなら、社内にだけ通じる言葉を、外の人が読んでも分かる言葉に直すことが必要です。

Q. 何を載せればよいか、思いつきません。

最初は、理念や判断の基準を、実際の仕事の場面で見せるのがおすすめです。経営者の言葉と、社員の仕事のひとコマ。この2つがあれば、1号はつくれます。


この記事は、パナソニックの公式のお知らせをもとに、私の見方で読み解いたものです。

出典:パナソニック ニュースサイト(社内報のリニューアルのお知らせ・2024年3月22日) /安田旬佑 YouTube「【経営者必見】社長と現場がうまくいかないのは、伝え方が足りないからだ。」(2026年1月6日)https://www.youtube.com/watch?v=Biv6LkHWgfU

株式会社オムニモスーク 代表 安田旬佑