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価値曲線で差別化する|シルク・ドゥ・ソレイユの一本の線

シルク・ドゥ・ソレイユは、足して強くなったのではなく、減らして強くなりました。

この記事の結論
価値曲線とは、自社が何に価値を置き、何を減らし、何を加えるかを、一本の線で見える化する方法です。競合と同じ線を描いている限り、価格で比べられます。減らすものと加えるものを決めて、線の形を変えることが、差別化の第一歩です。

「うちの強みは何か、と聞かれても、うまく答えられない」

多くの経営者の方が、そう感じています。強みがないのではありません。自分たちの価値がどこにあるのかが、見える形になっていないのです。

そんなときに役立つのが、価値曲線です。この記事では、価値曲線とは何か、そしてどうつくるのかを、シルク・ドゥ・ソレイユの例をもとにお話しします。


1. 価値曲線とは

価値曲線の例(飲食店)|自社は料理の質・雰囲気・接客で上回る

価値曲線とは、お客様が気にする項目を横に並べ、自社と競合がそれぞれどれくらい力を入れているかを、線で結んだものです。

例えば、飲食店なら「価格」「料理の質」「品数」「店の雰囲気」「接客」「立地」といった項目を並べ、それぞれに点数をつけていきます。

線にしてみると、自社と競合の違いがひと目でわかります。もし競合とほとんど同じ形の線になっていたら、それはお客様から見て違いがない、ということです。

2. 価値曲線でわかる3つのこと

価値曲線でわかる3つのこと|何に価値を置くか、何を減らすか、何を加えるか

価値曲線を描くと、次の3つが見えてきます。

  1. 何に価値を置くか:力を入れて伸ばすところ
  2. 何を減らすか:業界では当たり前でも、お客様がそれほど求めていないところ
  3. 何を加えるか:業界ではまだ誰もやっていない、新しい価値

3. 事例:シルク・ドゥ・ソレイユ

シルク・ドゥ・ソレイユ|減らした:動物のショー、スターの出演/加えた:テーマと物語性、音楽や演出

価値曲線の例としてよく知られているのが、シルク・ドゥ・ソレイユです。

従来のサーカスといえば、動物の芸や、有名なスターの出演が当たり前でした。シルク・ドゥ・ソレイユは、そこを大きく変えました。

  • 減らした:動物のショーなど、費用がかかるわりにお客様の心をつかみきれていなかったもの
  • 加えた:一つひとつの公演のテーマと物語性、洗練された音楽や演出

その結果、子ども向けの娯楽だったサーカスが、大人が高いお金を払って観に行く芸術になりました。価格で戦わずに、高い価格帯で選ばれるようになったのです。

4. 価値曲線のつくり方

価値曲線のつくり方|項目を書き出す、競合の線を描く、自社の線を描く、減らす・加えるを決める

では、自社の価値曲線は、どうつくればいいのでしょうか。

ステップ1:お客様が気にする項目を書き出す

お客様が商品やサービスを選ぶときに、何を比べているのかを書き出します。

ステップ2:同業者や競合の線を描く

同業者や競合が、それぞれの項目にどれくらい力を入れているかを点数にして、線で結びます。

ステップ3:自社の線を描く

同じように、自社の線を描きます。ここで、競合と同じ形になっていないかを確かめます。

ステップ4:減らすもの・加えるものを決める

お客様がそれほど求めていない項目は減らし、まだ誰もやっていない価値を加えます。こうして、自社だけの線の形をつくっていきます。

5. 価値曲線は「定期的に見直す」

価値曲線は、定期的に見直す|いまの強みが、来年も強みとは限らない。

価値曲線は、一度つくったら終わりではありません。

市場もお客様も、変わり続けます。競合も動きます。だから、定期的に見直すことが大切です。いまの自社の強みが、来年も強みであり続けるとは限らないからです。

6. 「必要とされる会社」になるために

価値曲線の目的|自分たちの価値を知り、尖らせる。

価値曲線をつくる目的は、図をきれいに描くことではありません。自分たちの価値を知り、尖らせることです。

自社の強みを理解し、競合と比べながら価値を尖らせていく。そうすることで、お客様から「この会社でなければ」と必要とされる会社になっていきます。それが、価格で戦わずに選ばれる、いちばんの近道です。

7. ブランディングの4つの要素とのつながり

ブランディングの4つの要素(すべて双方向)|哲学・戦略・組織・コミュニケーションは、すべて双方向につながっている

価値曲線は、ブランディングの4つの要素(哲学・戦略・組織・コミュニケーション)のうち、戦略の道具です。

  • 何を減らし、何を加えるかの判断の軸は、会社の哲学
  • 尖らせた価値は、伝わらなければ意味がない(コミュニケーション)
  • 新しい価値を実際に届けるのは、社員一人ひとり(組織)

そして、お客様の反応が、価値曲線の読みが正しかったかを教えてくれます。4つは、すべて双方向につながっています。


今日からできる、3つの問い

今日からできる3つの問い|お客様は、何を比べているか、業界の当たり前で、減らせるものは、まだ誰もやっていない価値は何か
  1. お客様は、商品やサービスを選ぶとき、何を比べていますか?
  2. 業界の「当たり前」の中で、減らせるものはありませんか?
  3. まだ誰もやっていない価値で、加えられるものは何ですか?

よくある質問

Q. 価値曲線とは何ですか?

お客様が気にする項目ごとに、自社と競合がどれくらい力を入れているかを線で結んだ図です。自社の強みと、競合との違いを見える化できます。

Q. 価値曲線とブルーオーシャン戦略の関係は?

価値曲線は、ブルーオーシャン戦略で使われる代表的な道具です。減らすもの・加えるものを決めて、競合のいない市場をつくる考え方です。

Q. 中小企業でも使えますか?

使えます。紙とペンがあれば、すぐに描けます。まずは自社と、近くの競合2〜3社の線を描いてみることから始めてみてください。


この記事の内容は、YouTubeでもお話ししています。
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株式会社オムニモスーク 代表 安田旬佑