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経営にとても大事な無形資産「ブランドエクイティ」について

ブランドエクイティピラミッド:コカ・コーラとペプシコーラの事例

ケラーのブランドエクイティモデルに基づき、強力なブランドを構築するには、顧客が製品についてどのように考え、感じているかを形作る必要があり、顧客がブランドについて具体的で前向きな考え、感情、信念、意見、認識を持つように、ブランドに関する適切なタイプのエクスペリエンスを構築する必要があります。これによると、これら2つのブランドの強いブランドエクイティのおかげで、以下に示すケラーのピラミッドに見られるように、ブランドに関連する最も重要な形容詞を簡単に特定できます。

ブランドエクイティピラミッドの構成要素:ブランドセイリエンス(Brand Salience)

ブランドセイリエンスは「簡単にブランドを想起させる、ブランドの突出性」といった、いわば「知名度」と「ポジショニング」をあわせ持ったような概念といえます。

コカ・コーラ:アメリカ人の価値観であり、どんな場所でも恋人のように幸せを共有できる爽快な飲み物

ペプシコーラ:みんなが楽しむ、ハッと目が覚める炭酸のような飲み物

…となります。いかがでしょうか。言葉にされると確かに同じコーラでも印象は違いますね。

ブランドエクイティピラミッドの構成要素:ブランドパフォーマンス(Brand Performance)

ブランドパフォーマンスとは「実用的な顧客ニーズをどれだけブランドが満たしているのか」ということです。つまりブランドの価値がどれだけ理解されているかと言い表すことができます。そして、他の商品との差別化ポイントであるともいえます。以下が2社の提供したいと思っている価値です。

コカ・コーラ:コーラらしさ・爽快感・独特な香り・活力・美味しさ

ペプシコーラ:より甘い味わい・ブラインドテスト選ばれた・泡立ちを抑える・心身の爽快感

このように比較すると2社のコーラの意図している差別化ポイントが見えやすくなりますね。

ブランドエクイティピラミッドの構成要素:ブランドイメージ(Brand Imagery)

「ブランドイメージ」とは消費者の頭の中に存在するブランド像のことです。コカコーラとペプシコーラでは以下のようになります。抽象的なイメージで顧客の心理的ニーズを満たしているかどうかが見て取れます。

コカ・コーラ:ハピネス、クリスマス、社交的、時、楽しみ

ペプシコーラ:ティーンズ、若者、都会、スタイル、尖っている、青い涼しさ、冗談を言う人

なるほど、消費者のブランドイメージを左右するプロモーションにおいてもヒントがありますね。コカ・コーラは、どちらかと言えば変わらない映像のコンセプトがありますね。

一方ペプシも最近は鬼退治の桃太郎シリーズも有りましたが、ここではペプシマンをご紹介します。

確かにブランド・イメージを表現しているようなコマーシャルになっています。なかなか興味深いですね。

ブランドエクイティピラミッドの構成要素:ブランド・ジャッジメント(Brand Judgement)

ブランド・ジャッジメントは消費者からの商品・サービスの機能や品質に対する評価度合いです。ブランド・ジャッジメントでは、ポジティブで好意的な反応について規定し、ブランドを構築していくための道標にしていきます。

コカ・コーラ:革新的、忠誠、リーダー、卓越

ペプシコーラ:高品質、競争的、満足

コカ・コーラとペプシコーラのあり方に対しての判断をどうマネジメントしていきたいかが理解できるかと思います。これらのキーワードでジャッジしてもらいたいと企業側が思っており、実際にロイヤリティの高い方はそのように判断していると予測できます。上記のように表記されると確かに私自身もそのように判断していると思います。

ブランドエクイティピラミッドの構成要素:ブランド・フィーリング(Brand feeling)

ブランド・フィーリングとは消費者のブランドに対する感情的な反応・評価です。こちらも消費者にポジティブで好意的な反応をとってもらうことが必要です。そうすることで上位ロイヤリティのレゾナンスへと育てていくことができるのです。

コカ・コーラ:幸福感、共有、お祝い、協同、家族や友人、自尊心

ペプシコーラ:冒険心、わくわく感、セクシー、社会的承認

こちら2つを比較しても全く異なることが印象的です。それぞれブランド・イメージにも関連していることがわかると思いますが、コカ・コーラは幸福感や家族といった景色が見えるのですが、一方ペプシコーラは若い世代の夢見る冒険心といったような印象を受けます。このような視点からも2つのポジショニングは違いますし、結果としてそのプロモーションも違うがために、同じコーラでも印象が変わるというわけですね。

ブランドエクイティピラミッドの構成要素:ブランドレゾナンス(Resonance)

ブランドレゾナンスとは、ブランドと顧客の感情移入の度合いを意味し、強く積極的なロイヤリティを目指したいエリアになります。アーカーが伝える「ブランドロイヤリティ」がこの部分であるといえます。

コカ・コーラ:消費者を巻き込む、コミュニティ、愛着

ペプシコーラ:友交関係、ロイヤリティ、関わりの深いコミュニティ

ブランドレゾナンスとは、顧客との繋がりの強さや深さであると言えます。そのため、コカ・コーラもペプシコーラもロイヤリティの向上という意味で、目指しているものは近しいと感じます。それぞれファンを獲得するためのアプローチは異なりますが、顧客との関係性の強化という意味では、人の感情にまで踏み込み、愛着をもってもらうことをゴールにしているので、それぞれの魅力や強みを発揮しながら、愛されるブランドを目指しているということをご理解いただけると思います。

ブランドエクイティ(ブランド資産)のまとめ

いかがだったでしょうか。ブランドエクイティピラミッドはファンをどのように育てていくかを知るための道標になるかご理解いただけましたでしょうか。ブランドを資産と考える理由は、ブランドがヒト・モノ・カネ・情報に続く第5の経営資源であるからです。ブランドエクイティ(ブランド資産)は企業と消費者の架け橋であり、ダイレクトに経営に影響を与えるものです。そのため、経営上は大切にマネジメントされるべき資産と言えます。ブランドが成長するということは、ブランドアイデンティティやブランドパーソナリティが際立ち、消費者にとっても希少性の高い存在となりえます。他の資産との違いはこの点になります。

消費者というものは、同じカテゴリの中で想起できるブランドは最大で5〜6つ程度ではないでしょうか。ブランドエクイティを長期的に成長させるべき資産と考えることができれば、自ずと日々の行動が変化し、消費者の中でブランドを積み上げていくことができます。ブランドとは、一時的なものではありません。長期的に築きながら、マネジメントしていくものです。一旦消費者の記憶の中に、前向きなブランドを強く残し続けていくことができれば、ブランド戦略において確実に競争力を生み出すことができるはずです。

ブランドエクイティとは適切にマネジメントしていけば、企業のコアコンピタンスとなりえます。それぞれの従業員がブランドらしさを体現する社風が構築できれば、自ずと生産性が上がり、従業員のモチベーションも高まっていくことと思います。その思想から活動を起こす源泉となるものがブランドであり競争力となっていきます。ぜひ皆さんもブランドエクイティという資産を大いに育て活用していっていただきたいと思います。