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経営にとても大事な無形資産「ブランドエクイティ」について

ブランドエクイティピラミッド(ブランドビルディングピラミッド)とは?

ケビン・ケラーはブランド構築を「セイリエンス(顕現性)」から「レゾナンス(共鳴)」までの4つの階層に分けて、それぞれについて理性的なルートと感性的なルート、つまり頭と心の2種のルートでブランドが構築されていくと説明しました。スマホの登場で知識はどんどん蓄積されるので、頭の方のルートはすぐに埋まります。しかし、自分でじっくり考えているわけではないので、心のルートがついていっていません。心がついていかないということは、ブランドとのリレーションシップも弱いといえます。

ケラーのピラミッドは消費者の心ではなく、ブランドマネージャーがやるべきタスクや課題を整理したものですから、ブランドに対する消費者のロイヤルティ形成にそのまま当てはまるというわけではないかもしれませんが、少し検討していくことはできると思います。

昨今は、情報感度の高い人ほど一つのブランドに固執せず、いくつものブランドをバランス良く試して買う傾向が見られるそうです。企業は唯一のブランドになることは困難な時代になっているといえます。多少の他社への興味は仕方がないといえますし、それらを含む中で中心的な存在を目指すということが現代のブランディングといえます。そのような中でブランドを高める戦略をどのように構築すべきなのでしょうか。

1、ブランドエクイティピラミッドの構成要素:ブランドセイリエンス(Brand Salience)

ブランドの最も底辺にあるものは、ブランドセイリエンスです。Sailienceとは、「尖った」部分であり、ブランドの突出性のことです。要するに、顧客のブランドに対する認識の強さのことであり、様々な属性の人たちがどれくらい頻繁に、どれくらい簡単にブランドのことが思い出せるかということをリサーチすることで判断できます。ピラミッドの土台となる部分「セイリエンス」は、ブランドの持つ特徴や基本的な機能などを顧客に向けて説明するパートです。この土台があってはじめて顧客は、次の段階である他社ブランドとの差別化がされたパフォーマンスや、商品の価格・デザインなどに目を向けます。続いて、実際に商品を使用する状況などをイメージしながら、顧客は品質の客観的な判断、琴線に触れるかといったプロセスを経て、最終的にはブランドに共感・共鳴をしていきます。

2、ブランドエクイティピラミッドの構成要素:ブランドパフォーマンス(Brand Performance)

ブランドパフォーマンスとは、製品やサービスが満たそうとしている機能的な顧客ニーズと関わっており、客観的にどのような品質をブランドが持っているのか、実用的で経済的な顧客のニーズや欲求をどの程度ブランドが満たしているのか、ということを知ることができます。

3、ブランドエクイティピラミッドの構成要素:ブランドイメージ(Brand Imagery)

これは皆さんよくご理解いただけているブランドイメージです。ブランドが顧客の心理的ニーズまたは社会的ニーズを満たそうとする方法など、製品やサービスに付帯する特性をいいます。〇〇的や形容詞などで抽象的な表現をされます。

4、ブランドエクイティピラミッドの構成要素:ブランド・ジャッジメント(Brand Judgement)

顧客自身の意見や評価に焦点を当てており、品質性、顧客理解性、独自効果、信頼性、利便性など顧客の理性的判断エリアです。消費者からの評価度合いであり、ブランドパフォーマンスと比較して「ジャッジメント」という、主体的に実利価値を捉えている状態です。

5、ブランドエクイティピラミッドの構成要素:ブランド・フィーリング(Brand feeling)

ブランドフィーリングとは、ブランドに対する顧客の感情的反応のことである。ブランドイメージが印象であったのに対して、ブランド・フィーリングは消費者の感覚や感性などによる判断という意味で「態度」が伴っています。

6、ブランドエクイティピラミッドの構成要素:ブランドレゾナンス(Resonance)

レゾナンスとは、共鳴とか共感という意味があります。D.Aアーカーのブランドロイヤリティがこの部分に適合します。顧客とブランドの関係の性質及び顧客がブランドと「同調している」と感じる程度をいいます。

ブランドエクイティピラミッドの構造について

ブランドエクイティピラミッドの左側は消費者の理性評価であり、右側は感性・感情評価となります。この構造でお伝えしたいことは、ブランディングとは品質や機能を追求する理性評価だけではなく、感性や感情を満たす価値の提供も必要だということです。そしてピラミッドの下から上に向かって意味するものは、認知からロイヤリティ醸成までのプロセスです。D.A.アーカーのブランドエクイティの5つの構成要素に分けることをお伝えしましたが、それぞれケラーのブランドエクイティピラミッドに対応しています。

1、ブランド認知(Brand Visibility)=ブランドセイリエンス(Brand Salience)
2、知覚品質(Trust & Perceived Quality) =ブランドパフォーマンス(Brand Performance)&ブランド・ジャッジメント(Brand Judgement)
3、ブランドロイヤリティ(Brand Loyalty) =ブランドイメージ(Brand Imagery)&ブランド・フィーリング(Brand feeling)
4、ブランド連想(Brand Associations) =ブランドレゾナンス(Resonance)
5、その他のブランド資産(Others)