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付加価値とは?カルビーに学ぶ、使われていなかった資源に価値を足す経営

この記事の結論
付加価値とは、自社が新しくつくり出した価値のことです。カルビーは、会社の公式noteによると、栄養が豊富なのに活用されていなかった米ぬかの胚芽から健康食品をつくり、じゃがいもでは農家と直接契約する仕組みまでつくりました。私は、付加価値を、誰も見ていないところに価値を見つけて、続けられる形にすることだと読みます。性能を上げることだけが、付加価値ではありません。

「付加価値を高めたい」

そう考えている経営者の方に向けて、会社が公式に公開している歩みを、順にたどります。


1. 付加価値とは

付加価値は、経営の言葉では、自社が新しくつくり出した価値のことです。仕入れたものを、そのまま売るだけでは生まれません。自社が何かを足したから生まれる価値です。

私は、付加価値を、ブランディングの目的の一つとして見ています。講義では、ブランディングの第2の目的を「付加価値の創出」と話しています。中身は2つです。機能的な便益・独自性と、情緒的・心理的価値の提供。お客様は、この2つで、はじめての購入を決めます。その先に、購入が続くこと、つまり売上と利益があります。

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2. カルビーの公式な歩み

カルビーのお客様相談室のFAQと、会社が運営する公式note「THE CALBEE」から、主なものを並べます。

1955年
できごと:「カルビー」と名づける。カルシウムの「カル」と、ビタミンB1の「ビー」を組み合わせた造語。健康に役立つ商品づくりをめざして

1955年
できごと:小麦粉のあられ「かっぱあられ」を発売。日本初の小麦製あられ

1964年
できごと:「かっぱえびせん」を発売

1967年
できごと:創業者の松尾孝が、かっぱえびせんの出品で渡米。ポテトチップスが山積みで売られている光景を見る

1975年
できごと:「カルビーポテトチップス」を発売。第一弾は「うすしお味」

1980年
できごと:グループ会社のカルビーポテトを設立

公式noteによると、契約しているじゃがいも農家は全国に約1,600戸(2024年度の実績)です。

3. 誰も見ていなかった資源に、価値を見つけた

使われていなかった資源に価値が生まれた

ここからは、私の読みです。

公式noteによると、創業者の松尾孝は、食糧難の時代に、米ぬかの胚芽に目をつけました。ビタミンB1が豊富なのに、活用されていなかった。そこから、健康食品をつくりました。

じゃがいもも、同じです。公式noteには、1968年に北海道で副知事から、生産されたじゃがいもの半分以上が、でんぷんだけを取って、残りは飼料になっていると聞いた、とあります。

どちらも、資源は、すでにそこにありました。 誰も、その価値を見ていなかった。カルビーは、そこに、健康という意味と、おいしさと、買い続けたくなる形を足しました。

私は、付加価値を、「足し算」として考えることをすすめません。何を足すかの前に、自社が、何を見落としているかを探す。ここに、小さな会社の勝ち方があります。

4. 価値を、続けられる形にした

付加価値は、一度つくって終わりではありません。続けて届けられなければ、お客様の習慣にならないからです。

カルビーは、1980年にカルビーポテトを設立しました。公式noteによると、市場のじゃがいもを買うのではなく、農家と直接契約し、栽培・収穫・貯蔵から配送まで一貫して管理する体制をつくった。孫にあたる方の談話として、価格が変わる農作物で、値段が決まった加工品を売ることはできない、という考えが紹介されています。創業者の考えは、両者が良い環境にならなければ事業は続かない、というものでした。

私は講義で、シェフとキッチンの話をします。シェフは、他社と違ったことを「行う」こと。キッチンは、他社と違ったものを「持つ」こと。かっぱえびせんやポテトチップスは、お客様に見える料理です。外から見えにくいのは、農家と直接結ぶ仕組みです。料理は、まねされることがあります。キッチンは、まねできません。

5. 付加価値を、4つの要素で読む

私は、ブランディングとは経営の全てであり、その活動であると考えています。付加価値は、4つの要素のうち、戦略の中心にある言葉です。そして、4つのすべてにつながっています。

  • 戦略: どうすれば、戦わずに選ばれるか。誰も見ていない資源から始めたので、同じ土俵で戦わずにすみました
  • 哲学: 何のために存在するのか。社名そのものが、健康に役立つ商品づくりをめざす約束です
  • 組織: 同じ方向を向いて、実現できるか。農家と直接結ぶ仕組みが、続けられる土台になっています
  • コミュニケーション: お客様に、どんな気持ちを抱いてほしいか。おいしくて、体にもよい、という安心です

4つは、片方向では動きません。仕組みをつくる経験が、哲学の言葉を磨き直します。

戦わないブランディングの定義は、下の記事に書いています。付加価値の最大化は、この「経営資源の最大化」と、同じ線の上にあります。

▶ 関連記事:戦わないブランディングとは?選ばれ続ける中小企業の考え方

6. 付加価値の最大化は、社会への貢献

私は、付加価値の最大化は、社会貢献だと考えています。会社が価値をつくり、利益を出せば、社員の給料になり、税金になり、次の投資になります。少ない資本と人で、大きな付加価値をあげる。そのために、会社は工夫を続ける。付加価値は、お客様に値上げを認めてもらうための言葉ではありません。社会に返せるものを、増やすための言葉です。

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自社の付加価値を、探す方法

自社の付加価値を探す手順

社員が少なくても、仕組みはつくれます。

  • 自社が、いま捨てているもの・使っていないものを、3つ書き出す。 端材、待ち時間、社員の経験、お客様の声など、どの業種にもあります
  • その中に、お客様が欲しがる意味はないか、考える。 カルビーは、米ぬかの胚芽に「健康」という意味を見つけました
  • 見つけた価値を、続けて届けられる仕組みにする。 一度きりの工夫で終わらせません
  • 社員に、見落としを聞く。 いちばん現場にいる人が、いちばん知っています

付加価値の出来は、自社が、見落としていたものに、気づけたかで測れます。

地域の中小企業のブランディングについては、ブランディング会社のページで、考え方と進め方をまとめています。


よくある質問

Q. 付加価値と、利益は、同じですか?

同じではありません。付加価値は、自社が新しくつくり出した価値で、そこから、人件費や利益などが生まれます。くわしい計算の方法は、会計の専門家にご相談ください。

Q. 付加価値を高めるには、値上げが必要ですか?

値上げは、付加価値が高まった結果として認められることがあります。先に必要なのは、お客様にとっての価値を増やすことだと、私は考えます。

Q. 小さな会社でも、付加価値は高められますか?

はい。この記事で読んだように、見落とされている資源に価値を見つけることは、会社の大きさに関係なくできます。


この記事は、カルビーの公式FAQと公式noteをもとに、私の見方で読み解いたものです。

出典:カルビー お客様相談室「社名の由来」 /同「かっぱえびせん」https://faq.calbee.co.jp/faq_detail.html?id=13 /カルビー公式note THE CALBEE https://note.com/the_calbee/n/nb3dfff915d31 ・ https://note.com/the_calbee/n/n255b4661b9e8 ・ https://note.com/the_calbee/n/n70f7e6d4554c

株式会社オムニモスーク 代表 安田旬佑