ホーム / ブログ

ブログ

ユニクロの年表を読む|1,900円のフリースの前に、14年あった

この記事の結論
1998年10月、ユニクロの1,900円のフリースが話題を呼びました。公式の沿革は、その14年前の1984年6月に、広島市で1号店を出したと書いています。突然のヒットに見えるものにも、話題になる前の積み重ねと、話題のあとの動きがあります。自社の年表を、その2つに分けて見てみると、いま足りないものが見えます。

1998年10月。ユニクロの1,900円のフリースが話題を呼びました。公式の沿革にも、そう書かれています。

その14年前、1984年6月に、ユニクロは広島市に1号店を出していました。

話題になった日だけを見ると、突然のヒットに見えます。沿革を最初から読むと、そこに至るまでの積み重ねが見えてきます。ほめる気持ちと、学ぶ気持ちで、読んでみます。


1. 公式の沿革を並べる

ユニクロの年表:1984年の1号店から、1998年の1,900円のフリースまで

ファーストリテイリングの公式沿革から、主なものを並べます。

1984年6月
できごと:広島市にユニクロ1号店を出店

1985年6月
できごと:山口県下関市に初のロードサイド店を出店。後のユニクロ店舗の原形になった

1991年9月
できごと:商号を小郡商事からファーストリテイリングに変更

1994年7月
できごと:広島証券取引所に上場

1996年11月
できごと:商品開発体制の強化のため、東京事務所(渋谷区)を開設

1997年4月
できごと:東京証券取引所市場第二部に上場

1998年10月
できごと:フリース1,900円が話題を呼ぶ

1998年11月
できごと:首都圏初の都心型店舗として、原宿店を出店

1999年2月
できごと:東京証券取引所市場第一部銘柄に指定

2000年10月
できごと:インターネット通信販売を開始

2001年9月
できごと:海外進出の第一歩として、英国ロンドンに出店

2002年4月
できごと:ユニクロデザイン研究室(現・R&Dセンター)を開設

2002年9月
できごと:中国・上海にユニクロを出店し、中国での営業を開始

2026年5月
できごと:米TIME誌の「世界で最も影響力のある企業100社」に初めて選出

2. 話題になる前の14年

1984年の1号店から、1998年の1,900円のフリースまで、約14年。

その間の沿革を、順に読みます。1985年にロードサイドの店を出し、これが後の店舗の原形になったと、公式は書いています。1991年に、会社の名前をファーストリテイリングに変えました。1994年と1997年には、証券取引所に上場しています。1996年には、商品の開発を強めるために、東京に事務所を開きました。

1,900円のフリースは、この積み重ねのあとに出てきました。

3. 話題のあと、すぐに動いた

フリースの翌月、1998年11月に、首都圏初の都心型店舗を原宿に出しました。

その後も、1999年に東証一部、2000年にインターネット通販、2001年にロンドン、2002年に上海。話題を、次の動きにつなげていった年表です。

2002年には、ユニクロデザイン研究室(現在のR&Dセンター)を開いています。商品の開発を、組織として持つ。「キッチン」に当たる部分を、年表の中で太くしていったように見えます。

▶ 関連記事:ユニクロのブランディング|柳井正さんがつくった「服の民主化」という哲学

4. 値段が話題を呼んだ(私の読み)

話題の前の積み重ねと、話題のあとの動き(筆者の読み)

ここからは、公式の言葉ではなく、私の読みです。

沿革は、1,900円のフリースが「話題を呼んだ」と書くだけで、理由までは書いていません。それでも、数字そのものが、商品を説明している。そう読めます。1,900円という値段が、フリースを説明する言葉の代わりになりました。値段が、広告の役目を果たした、ということです。

値段は、お客様の頭に残る入口です。その後ろに、14年の積み重ねと、その後の年ごとの動きがあったから、話題が一度で終わらなかった。私は、そう読みます。

戦わないブランディングの目で見ると、話題になった日の派手さではなく、その前後に自社の「持つ力」を積み上げた順番が、大事だと私は考えます。

▶ 関連記事:売上で悩んでいる企業こそ必要な“戦わないブランディング”とは


自社の年表を、2つに分けて書き出す

自社の年表を書き出す3つ

自社の「1,900円のフリース」は、何でしょうか。お客様が一言で説明できる、わかりやすい入口です。

ただ、入口だけをつくっても足りません。ユニクロの沿革は、話題になる前に14年、なった後に年ごとの動きがあることを見せています。

  1. 自社の沿革を、年表にして書き出す
  2. 話題になった日、売れ始めた日の「前」に、何があったかを書く
  3. その日の「後」に、何をしたかを書く

その2つが並ぶと、いま足りないものが見えます。

福岡の中小企業のブランディングについては、福岡のブランディング会社のページで、考え方と進め方をまとめています。


よくある質問

Q. 1,900円のフリースが話題になった理由は、公式に書かれていますか?

書かれていません。公式の沿革は、1998年10月に話題を呼んだ、と書くだけです。値段が広告の役目を果たした、という読みは、私の見立てです。

Q. 「14年」はどう数えていますか?

1984年6月の1号店から、1998年10月のフリースまでを、約14年と計算しています。


この記事は、ファーストリテイリングの公式沿革をもとに、私の見方で読み解いたものです。

出典:ファーストリテイリング「沿革」 /同 https://www.fastretailing.com/jp/about/history/
計算:1984年6月から1998年10月=約14年。

株式会社オムニモスーク 代表 安田旬佑