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ビジネスモデルとは?マクドナルドに学ぶ、利益の9割が加盟店から上がる仕組み

この記事の結論
マクドナルドの2025年の売上は268.9億ドル。そのうち、家賃とロイヤリティが約61%を占めます。店から上がる利益の約91%は、フランチャイズ(加盟店)から来ています。売上でも利益でも1位はフランチャイズです。ただ、差の開き方が、売上と利益ではまったく違います。これは、年次報告書に書いてある数字です。

ビジネスモデルとは、会社がどこから、どのように利益を得るかの仕組みのことです。この記事では、マクドナルドの決算書(10-K)の数字だけで、その仕組みを読みます。

マクドナルドの売上のうち、ハンバーガーを自分の店で売った分は、36%です。

では、残りは何でしょうか。公式の決算書を、そのまま開いてみます。


1. 決算書の3行を読む

マクドナルドの2025年の売上268.9億ドルの内訳(大きい順):家賃39%、直営店36%、ロイヤリティ22%、その他2%

マクドナルド本社は、アメリカの証券当局に出す年次報告書(10-K)で、売上を次のように分けています。2025年の数字です。

家賃
金額(億ドル):104.4
売上に占める割合:39%

ロイヤリティ(売上に連動する料金)
金額(億ドル):60.2
売上に占める割合:22%

加盟時の手数料
金額(億ドル):0.9
売上に占める割合:0.3%

フランチャイズ収入の合計
金額(億ドル):165.5
売上に占める割合:62%

直営店の売上
金額(億ドル):96.9
売上に占める割合:36%

その他
金額(億ドル):6.5
売上に占める割合:2%

売上合計
金額(億ドル):268.9
売上に占める割合:100%

次に、利益です。こちらは、店の種類別に出ています。

フランチャイズの店
利益(億ドル):139.3

会社の直営店
利益(億ドル):14.2

合計
利益(億ドル):153.5

利益の約91%が、フランチャイズから上がっています。

売上では36%を占める直営店が、利益では1割に満たない。売上でも利益でも1位はフランチャイズですが、差の開き方がまったく違います。

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2. 仕組みは、マクドナルド自身が説明している

店の利益の約91%はフランチャイズから

その仕組みを、マクドナルド自身が年次報告書で説明しています。

マクドナルドは、自社を「主にフランチャイザー(フランチャイズの本部)」と位置づけています。ふつうのフランチャイズの店では、会社が店の土地と建物を所有するか、長期で借ります。加盟店の経営者は、設備、看板、座席、内装を自分で用意します。会社は、加盟店から家賃とロイヤリティを受け取ります。

2025年末の店舗数は、世界で45,356店。そのうち約95%がフランチャイズです。

さらに、契約で決まっている、加盟店から今後受け取る最低家賃の合計は314.5億ドルあります。これは来年の売上の見込みではありません。すでに結ばれた契約の積み上げです。

土地と建物を持ち、加盟店に使ってもらう。収入は、売れた量だけでなく、店が続くことにも支えられる。そういう形です。

3. 日本のマクドナルドでは

日本マクドナルドホールディングスの2024年12月期の決算短信を見ます。

直営店舗の売上
金額(億円):2,735

フランチャイズ収入
金額(億円):1,320

売上でのフランチャイズの割合は、約33%です。ところが、粗利(売上から原価を引いた額)で見ると、直営店が301億円、フランチャイズが508億円。フランチャイズの割合は約63%になります。

日本でも、売上の見え方と、残る粗利のちがいは、同じ向きに出ています。ただし、日本の決算短信には、アメリカ本社ほど不動産の比重は書かれていません。「日本のマクドナルドも不動産業」とは、言い切りません。

4. 「うちは不動産業だ」の言葉について

マクドナルドの話になると、「うちはハンバーガー屋ではない。不動産業だ」という言葉がよく出てきます。

出どころを調べました。語ったとされるのは、初代社長のハリー・ソネボーンです。ただ、本人が言った日付のある記録は、確認できませんでした。映画の台詞は、脚本の言葉で、本人の言葉そのものではありません。

そこで、この記事では、この言葉を根拠にしません。決算書の数字だけで言います。


5. 「シェフとキッチン」で読む

私はこの数字を、「シェフとキッチン」の話として読みます。

お客様に見えているのは、シェフです。ハンバーガーの味、速さ、どの町にもある店。他社と違うことを「行う」部分です。

利益を残しているのは、キッチンでした。他社と違うものを「持つ」部分。マクドナルドの場合、それは、土地と建物と、加盟店との長期の契約です。まねをするには、時間もお金もかかります。

シェフの仕事は、味と速さに現れます。キッチンの仕事は、決算書の利益の列に現れます。

戦わないブランディングの目で見ると、マクドナルドの強さは、ハンバーガーの値段競争の外側にあります。まねされにくい「持つもの」を、時間をかけて積み上げてきた形だと、私は読みます。

▶ 関連記事:売上で悩んでいる企業こそ必要な“戦わないブランディング”とは

6. 戦略と組織は、つながっている

世界の45,356店のうち、約95%はフランチャイズです。お客様が出会うマクドナルドは、ほとんどが、加盟店の組織が動かす店です。

本社の収入は、家賃とロイヤリティです。加盟店が店を続けることが、本社の戦略の前提になっています。戦略が組織をまとめ、組織が戦略を実行する。 数字は、その結びつきの深さを見せていると、私は読みます。

ブランドは、社内から壊れる。そう私は考えています。フランチャイズでは、その「社内」に、加盟店の店頭が入ります。組織の設計は、ブランドの設計そのものです。


中小企業の試算表で、同じことをやる

自社の試算表で確かめる2つ

規模は関係ありません。やることは同じです。

  1. 試算表で、売上の1位と粗利の1位を並べて比べる。 同じ商品でしょうか。同じお客様でしょうか。1位が入れかわっていたら、お客様に見せている顔とは別に、自社のキッチンがあります
  2. 自社が「持っているもの」を書き出す。 立地、長く続いている契約、積み上がった顧客。毎年の収入を支えているのは、味や技術だけではないかもしれません

決算書は、会社が自分の強みを知るための、正直な資料です。売上は店の大きさを、利益は台所の強さを教えてくれます。

福岡の中小企業のブランディングについては、福岡のブランディング会社のページで、考え方と進め方をまとめています。


出典と計算

  • McDonald’s Corporation, Form 10-K(2025年12月期)。売上の内訳・利益・店舗数・最低家賃・事業の説明。https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/63908/000006390826000035/mcd-20251231.htm
  • 日本マクドナルドホールディングス 決算短信(2024年12月期)。https://www2.jpx.co.jp/disc/27020/140120250205564095.pdf
  • 計算(筆者):家賃104.42÷売上268.85=38.8%、ロイヤリティ60.18÷268.85=22.4%、(家賃+ロイヤリティ)=61.2%。フランチャイズの利益139.30÷(139.30+14.22)=90.7%。日本(単位:億円):フランチャイズ収入1,320÷(2,735+1,320)=32.6%、フランチャイズの粗利508÷(301+508)=62.8%
  • 金額は10-Kの数字を億ドルに丸めて表示。割合は四捨五入。

株式会社オムニモスーク 代表 安田旬佑