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キャッチコピー 例|ブラックサンダー・シャボン玉石けんに学ぶ、事実で書くコピーの作り方

この記事の結論
新聞広告賞2025(広告主部門)を受けた2つの広告は、どちらも、うまい言葉を探した結果ではありません。有楽製菓は30年前の出来事を、シャボン玉石けんは石けんの作り方を、そのまま書いています。審査講評も「最後にはいつもファクトだけが味方になる」と書きました。私は、キャッチコピーを自社にしかない事実を、お客様が思わず読む一行にしたものだと読みます。

「キャッチコピーの例を知りたい」

そう検索した経営者の方に向けて、受賞した2つの広告の題を、そのまま並べて読みます。


1. キャッチコピーとは

キャッチコピーは、商品や会社の魅力を、短い言葉で伝える広告の一行です。長く使う理念の言葉(スローガン)と呼び分けることもありますが、定義は出典によって揺れます。この記事では、呼び名より、読んだ人が、続きを読みたくなるかで読みます。

▶ 関連記事:スローガン 例|味の素・パナソニック・キリンに学ぶ、理念を一言にする方法

2. 新聞広告賞2025で読める、2つのコピー

有楽製菓(ブラックサンダー)
広告の題(公式・AdverTimes.の記載):九州のみなさん、あのとき助けていただいたブラックサンダーです。
何を書いたか:1995年に一度生産を終えたとき、九州の一部の店から復活を望む声が上がった。その30年後のお礼

シャボン玉石けん
広告の題(公式・AdverTimes.の記載):無添加50周年 舌で出来具合を確かめる。食品ではありません。石けんの話です。
何を書いたか:製造工程の事実。無添加の石けんづくりを、舌で確かめるところまで書いた

日本新聞協会の審査講評で、コピーライターの一倉宏さんは「最後にはいつもファクトだけが味方になる」と書いています。そして、ファクトそのものの強さで訴えた広告として、この2社を含む受賞作を並べました。

ここからは私の読みです。2つのコピーには共通点があります。言葉を飾っていないことです。形容詞で盛るのではなく、起きたことと、やっていることを、そのまま題にしています。

3. 事実のコピーは、なぜ強いのか

飾った言葉と事実のコピーの比較

私は講義で、キャッチコピーの案は何万と出てくるし、一つに絞り込まなくていい、とお話ししています。ただ、順番だけは変えません。まず、お客様に与える価値(商品コンセプト)。次に、ユニークで売り込みのきく主張(表現コンセプト)。コピーは、その最後に生まれます。事実が先で、言葉は後です。

有楽製菓の題には「あのとき助けていただいた」とあります。九州の人には、自分たちの話として読めます。ほかの会社には書けません。30年前に本当にあったことだからです。

シャボン玉石けんの題は、「食品ではありません。石けんの話です。」と続きます。舌で確かめる、という意外な事実で止め、次の一文で意味を明かす。読み手は、続きを読まずにいられません。

どちらも、ほかの会社が、明日からまねできないコピーです。うまい言葉は、まねできます。自社にしかない事実は、まねできません。

4. キャッチコピーを、4つの要素で読む

私は、ブランディングとは経営の全てであり、その活動であると考えています。キャッチコピーは、4つの要素のうち、コミュニケーションの言葉です。

  • コミュニケーション: お客様に、どんな気持ちを抱いてほしいか。コピーは、その気持ちが動く最初の一行です
  • 哲学: 何のために存在するのか。有楽製菓の「関わるあらゆる人々を笑顔にする」が、お礼の広告の根にあります
  • 組織: 同じ方向を向いて、実現できるか。30年前の恩を、会社が覚えていたから書けたコピーです
  • 戦略: どうすれば、戦わずに選ばれるか。他社と同じ土俵のうまい言葉をやめ、自社の事実で選ばれます

4つは一方通行ではありません。コピーを書こうとして事実が足りないと気づけば、それは哲学や組織を磨き直す合図になります。

戦わないブランディングの定義は、下の記事に書いています。事実で書いたコピーは、他社が明日からまねできません。そこに、戦わずに選ばれる入口があります。

▶ 関連記事:戦わないブランディングとは?選ばれ続ける中小企業の考え方


中小企業のキャッチコピーの作り方

事実からコピーを作る手順

従業員が数人の会社でも、手順は変わりません。

  • 言葉を探す前に、事実を3つ書き出す。 危なかった時期、助けてくれた人、続けてきた手間。うまい言い回しは、後です
  • その中で、ほかの会社が言えないものを選ぶ。 「当社も言える」なら、まだ事実が浅いサインです
  • 形容詞を消して、起きたことだけで書く。 「こだわりの」「心をこめた」は、事実に置きかえます
  • 続きを読みたくなる、意外な一点を残す。 シャボン玉石けんの「舌で確かめる」のように、です
  • 社員に読んでもらう。 社員が「そのとおり」と言えない事実は、お客様にも届きません

コピーは、飾るものではなく、自社の事実を、いちばん短く渡す形です。

地域の中小企業のブランディングについては、ブランディング会社のページで、考え方と進め方をまとめています。


よくある質問

Q. キャッチコピーと、スローガンは何が違いますか?

出典によって、呼び分けが揺れます。一般には、キャッチコピーは商品や広告ごとの短い言葉、スローガンは理念や目標を示す長く使う言葉と説明されます。

Q. 事実が地味な会社は、どうすればよいですか?

地味かどうかは、書き手が決めることではありません。シャボン玉石けんの「舌で確かめる」も、作り方の事実です。まず書き出して、社員に読んでもらってください。

Q. 広告の画像は見られますか?

この記事には、広告の紙面や動画を載せていません。題と経緯は、出典の記事で確認できます。


この記事は、公式ページと報道をもとに、私の見方で読み解いたものです。

出典:日本新聞協会「新聞広告賞2025」審査講評 /AdverTimes.「“ブラックサンダーの恩返し” 発売30年、新聞広告で九州の恩人へ感謝伝える」(2024年7月24日)https://www.advertimes.com/?p=468401 /AdverTimes.「新聞広告賞2025」受賞一覧 https://www.advertimes.com/?p=511068 /有楽製菓 公式サイト https://www.yurakuseika.co.jp/company/profile/

株式会社オムニモスーク 代表 安田旬佑