ベイブレードの歴史|25年目に大人へ開いた3つの入口
この記事の結論
ベイブレードは1999年、日本の伝承玩具ベーゴマを現代風にして生まれた対戦玩具です(株式会社オムニモスーク・安田旬佑)。4世代で世界80以上の国と地域に累計5.6億個以上(2025年9月時点)を出荷しました。25周年の2024年、会社は25年で初めて大人も参加できる国際大会を開くと発表し、第1世代の機体を復刻し、大人のための場所をつくると発表しています。私は、昔のお客様は思い出だけでは戻らず、大人として座れる席があって戻ってくると読んでいます。
3月21日は、ベイブレードの日です。
由来は対戦の合図です。「3・2・1 Go シュート!」の数字から決めて、2023年に日本記念日協会の認定記念日として登録したと、タカラトミーは書いています。合図を記念日にした会社がある。子どものころにこの合図を叫んだ人なら、もう体が反応しているはずです。
1. 体が覚えている「3・2・1」
ベイブレードは、1999年に生まれました。公式の説明によると、ベーゴマを現代風にして、部品を組み替えて改造でき、専用のランチャーで誰でも簡単に回せる「改造ができるバトル専用コマ」です。
私は講義で、ブランドが残る記憶を3つに分けて話しています。手続き記憶、意味記憶、エピソード記憶です。
心理学の言葉で言えば、手続き記憶は、自転車の乗り方のように体が覚えているやり方のことです。頭で思い出そうとしなくても、体が動く。合図に合わせてランチャーを引く動作は、まさにこれにあたります。何年離れていても、手に持てば引ける。
名前やロゴを覚えてもらう話は、よくされます。体に入った動作の話は、あまりされません。ベイブレードの会社は、その合図に日付を与えました。
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数字を並べます。公式の発表によると、第1世代『爆転シュート ベイブレード』は1999年から、第2世代『メタルファイト ベイブレード』は2008年から、第3世代『ベイブレードバースト』は2015年から、第4世代『BEYBLADE X』は2023年からです。
2023年5月の発表にある市場ベースの数字では、第1世代が約1.6億個・1,650億円以上、第2世代が約1.9億個・2,000億円以上、第3世代が約1.7億個・2,500億円以上でした。合計は、2025年9月時点で累計5.6億個以上にのぼります。
ここで大事なのは、世代が7〜9年ごとに替わっていることです(私の計算)。1999年に小学生だった人は、2023年には30代です。第4世代が出たとき、第1世代の子どもは、自分の子どもと並べるくらいの大人になっています。変えないことと、変えることでいえば、機構は世代ごとに変え、回して戦う遊びは変えていない。そして25年たつと、最初のお客様は大人になります。
3. 25年で初めて、大人も参加できる国際大会
2023年7月に発売した第4世代で、会社は「小学生だけでなく大人も参加できる『マスターズ大会』」を開くと発表しました。商品の対象年齢は6歳以上のままです。
翌年の2024年3月21日、ベイブレードの日に、会社は3つのことを発表しました。
- 子どもだけでなく大人も参加できる国際大会を、25年の歴史で初めて、2024年12月に開く予定であること
- 第1世代の人気機体「ドライガースラッシュ」を、第4世代の仕組みで復刻すること(2024年4月、税込1,600円)
- 「大人のベイブレードファンのための遊び場」としてベイブレードバーを、2024年夏に東京・大阪・名古屋で開くこと
「25年で初めて」という言葉があります。5億個を超えて出荷した商品に、それまで、大人が正面から座れる国際的な席がなかった。席ができたのは、最初の子どもたちが大人になったあとです。
会社がこの発表で何を狙ったかまでは、発表文からは分かりません。売上との因果も、書かれていません。分かるのは、席をつくった順番です。
4. エピソード記憶には、大会とバーが要る
3つの記憶のもう1つ、エピソード記憶は、いつ、どこで、だれと、という出来事の記憶です。一般的な例で言えば、放課後に友だちと回した、というような記憶です。
ベイブレードバーは、この記憶に場所を与えていると私は読みます。思い出は、ひとりで思い出しているだけでは行動になりません。同じ話のできる相手と回せる場所があって、はじめて人が出かけます。
講義のスライドに、「ストーリーは、共感を生み、強い記憶となり、行動へと導く」と書いたことがあります。記憶から行動までの間には、行ける場所が要ります。国際大会も同じです。子どものころの腕前を、大人の真剣勝負で確かめる場所です。
復刻の機体は、また少し違います。第1世代の名前を持ちながら、第4世代の仕組みで動く。昔のまま売るのでなく、いま戦える形で戻している。掲げるより守るの言葉でいえば、昔のお客様との約束を、いまの性能で守り直しているように読めます。
5. 意味の記憶は「ベーゴマの現代版」
最後に、意味記憶です。言葉や知識として覚えていること。ベイブレードの場合は、ベーゴマを現代風にしたコマ、という説明がこれにあたります。
このところの公式のリリースは、この1999年とベーゴマの説明を入れています。2026年7月のウルトラマンシリーズ60周年との共同の発表では、「ベイブレードファンはもちろん、現在『ウルトラマン』に夢中になっている子どもたちから、かつて熱中していた大人の方々まで」と、世代を超えた体験を書いています。第4世代は、発売6か月で国内累計200万個(2024年1月時点)を、世界累計で3,000万個(2025年4月時点)を突破したと発表されています。
親が子どもに説明できる言葉があること。これは小さく見えて、世代をまたぐときに効いてくると思います。意味記憶は、親から子へ受け渡しのできる記憶です。
6. 昔のお客様が帰ってくる3つの入口

スライドに、もう1つ書いた言葉があります。ブランディングは、記憶と深く関わるメタファーを利用することで、消費者が記憶を作る過程に大きな影響を与えることができる。
ベイブレードの年表を3つの記憶で読むと、入口はこうなります。
- 手続き記憶:体が覚えた動作を、もう一度できるようにする(合図と、ランチャー)
- エピソード記憶:同じ出来事を話せる相手と、会える場所をつくる(大会とバー)
- 意味記憶:子どもに説明できる一言を、毎回くり返す(ベーゴマの現代版)
新しいお客様を追うのは、もちろん続けます。ただ、20年分のお客様を持っている会社には、もう1つ打てる手があります。
昔のお客様に帰ってきてもらう手順
10年前のお客様の顔を、3人思い出します。
- お客様の体が覚えている動作を書く。 注文の仕方、店での手順、道具の使い方。ベイブレードの「3・2・1」にあたるものです
- その動作に、日付か名前を与える。 記念日でも、呼び名でも。社内で呼んでいるだけのものを、外へ出します
- 大人になったお客様の席をつくる。 昔の子ども向け商品なら大人のクラスを、昔の小口客なら法人の窓口を。席が先です
- 同じ話のできる人が会える場を開く。 小さな会から始めます。お客様どうしが顔を合わせる日を決めます
- 昔の品を、いま使える形で復刻する。 そのまま売らず、いまの性能と組み合わせます
古いお客様の記憶は、会社の資産です。帰る席を用意した日から、もう一度動き始めます。
地域の中小企業のブランディングについては、ブランディング会社のページで、考え方と進め方をまとめています。
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よくある質問
Q. ベイブレードは、いつ生まれましたか?
1999年です。日本の伝承玩具ベーゴマを現代風にしたもので、第2世代は2008年、第3世代は2015年、第4世代は2023年に始まりました。
Q. ベイブレードは、大人も遊べますか?
2023年の第4世代で、大人も参加できるマスターズ大会を開くと発表しました。2024年には、大人も参加できる国際大会を25年の歴史で初めて開くと発表しています。商品の対象年齢は6歳以上です。
Q. どれくらい出荷されていますか?
4世代合計で累計5.6億個以上(2025年9月時点)です。第4世代は世界累計3,000万個(2025年4月時点)を突破したと発表されています。
この記事は、タカラトミーの公式ニュースリリースをもとに、私の見方で読み解いたものです。
出典:タカラトミー ニュースリリース(2026年7月10日) /同(2025年)https://www.takaratomy.co.jp/product_release/pdf/p250605.pdf /同(2024年3月21日)https://www.takaratomy.co.jp/product_release/pdf/p240321.pdf /同(2023年5月17日)https://www.takaratomy.co.jp/product_release/pdf/p230517.pdf
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