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ビジョンとは?中川政七商店に学ぶ、業界まで見るビジョンの考え方

この記事の結論
中川政七商店は、公式サイトによると、全国800社超の工場・工房やつくり手と協働し、「日本の工芸を元気にする」をビジョンに掲げています。自社の売上だけでなく、業界の足元を支えることまで、ビジョンに入れた。私は、この哲学が組織をひとつにまとめていると読みます。自社のビジョンは、だれの足元まで見ているでしょうか。

ビジョンとは、会社がめざす先を、言葉にしたものです。中川政七商店のビジョンは「日本の工芸を元気にする」。この記事では、公式の会社情報をもとに、自社のビジョンの考え方を点検する方法を読みます。

1716年。奈良で、奈良晒(ならさらし)の商いが始まりました。中川政七商店の、公式サイトの最初の年号です。

それから300年以上。いまの中川政七商店は、自社の商品を売るだけの会社ではありません。全国800社超の工場・工房やつくり手と協働しています。

公式の会社情報をもとに、ほめる気持ちと、学ぶ気持ちで読みます。


1. 公式サイトに書かれていること

主な年と事業を、並べます。

1716年(享保元年)
内容:奈良晒の商いから始まる

1985年(昭和60年)
内容:初のブランド「遊中川」を立ち上げる

SPA(製造小売)事業
内容:企画・製造・販売を一体で行う。全国約60の店舗、ウェブサイト、イベントで商品を届ける

産地支援事業
内容:経営コンサルティング、次世代の担い手の育成、展示会などで、産地を支援する

つくり手
内容:全国800社超の工場・工房やつくり手と協働

ビジョン
内容:「日本の工芸を元気にする」。工芸を100年後も、暮らしとともにあるものにすることを目指す

認証
内容:B Corp認証を取得

2. 業界の数字が、先にある

公式サイトは、工芸の産地の数字も書いています。産地の生産額は、1980年代にピークを迎え、その後は減り続けた。2020年には、生産額はピークの約6分の1、従業者数はピーク時の約5分の1になった、と。

自社の商品が売れるかどうか、の前に、つくり手の足元が細っている。その数字を、公式サイトは、会社の紹介のなかに置いています。

3. 売る事業と、つくり手を支える事業

中川政七商店の2つの事業:SPA(製造小売)と産地支援

中川政七商店の事業は、2つあります。

ひとつは、SPA(製造小売)です。企画・製造・販売を一体で行い、約60の店舗とウェブサイトで、商品を届けます。もうひとつが、産地支援です。経営コンサルティング、次世代の担い手の育成、展示会を通じて、つくり手を支えます。

ここからは、公式の言葉ではなく、私の読みです。つくり手が元気でなければ、売る商品がなくなる。売る店が元気でなければ、つくり手にも仕事が戻らない。2つの事業は、同じ輪のなかにあります。

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4. 哲学が、組織をひとつにまとめる

公式のビジョン:日本の工芸を元気にする

ブランディングの4つの要素で言えば、「日本の工芸を元気にする」は、哲学です。

私の考え方では、組織は、社内だけではありません。取引先や協力会社を含む、価値をつくる全体のつながりです。中川政七商店の場合、800社超のつくり手が、その社外の組織に当たります。

自社の売上だけを目的にしていたなら、800社超の工場や工房と、長く協働することは難しかったかもしれません。何のために存在するのか、という問いに、自社だけでなく業界を元気にする、と答えた。その答えが、つくり手との協働を束ねている。私は、そう読みます。

そして、組織が、哲学を磨きます。つくり手と協働して商品をつくるたびに、「元気にする」の中身が、現場で確かめられていきます。

戦わないブランディングの目で見ると、同じ業界の中で他社と奪い合うより、業界そのものを元気にする。自社の存在理由を、競争の外側に置いた形だと、私は考えます。

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自社のビジョンを点検する3つ

自社のビジョンを点検する3つ

規模は関係ありません。自社の仕事が、だれの足元を支えているのかを、先に言葉にしておくことです。

  1. ビジョンが、自社の売上のことだけで書かれていないか見る
  2. 取引先、協力会社、地域。周りの元気にもつながる形で、言葉にできているか確かめる
  3. その言葉で、取引先が自社と長く付き合う理由を持てるか考える

言葉になっていれば、取引先は、自社と長く付き合う理由を持てます。自社の売上だけを目的にした言葉は、取引先の側に、同じ理由を生みません。

福岡の中小企業のブランディングについては、福岡のブランディング会社のページで、考え方と進め方をまとめています。


よくある質問

Q. 「日本の工芸を元気にする」は、公式のビジョンですか?

はい。公式の表記では末尾に感嘆符が付いていますが、この記事では付けずに引用しています。公式サイトが掲げるビジョンです。工芸を100年後も、暮らしとともにあるものにすることを目指す、と書かれています。

Q. 「2つの事業は同じ輪のなかにある」は公式の言葉ですか?

いいえ。公式の記載ではなく、私の見立てです。


この記事は、中川政七商店の公式サイトの会社情報をもとに、私の見方で読み解いたものです。

出典:中川政七商店「会社情報」

株式会社オムニモスーク 代表 安田旬佑