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MVVとは?スターバックスとファーストリテイリングに学ぶ、使われるMVVの作り方

この記事の結論
MVVとは、ミッション・ビジョン・バリューのことです。ただし、会社によって、言葉も構成も違います。スターバックスは「ミッション・約束・価値観」、ファーストリテイリング(ユニクロ)は「ステートメント・ミッション・価値観・行動規範」と、公式ページに書いています。私は、MVVを哲学を、組織が日々の判断に使える形に分けたものだと読みます。形より、使われているかどうかが大事です。

「MVVを作りたい」

そう考える経営者は、少なくありません。ここでは、スターバックスとファーストリテイリングが公式に公開している言葉をもとに、ほめる気持ちと学ぶ気持ちで、MVVを読んでみます。


1. MVVとは

MVVは、ミッション・ビジョン・バリューの頭文字です。解説では、次のように整理されることが多くあります(創業手帳の解説をもとにした言いかえ)。

ミッション
一般的な説明:社会に対して果たすべき使命・存在意義

ビジョン
一般的な説明:組織のあるべき姿、めざす姿

バリュー
一般的な説明:社内のメンバーの行動指針、価値観

ただし、これは民間の解説で、公的な定義があるわけではありません。実際、会社によって、構成も呼び名も違います。

2. スターバックスの公式の言葉

スターバックスの公式の構成:ミッション、約束、価値観

スターバックス コーヒー ジャパンの公式ページは、「Our Mission, Promises and Values」の3つで構成されています。

  • ミッション: 「「最高」のコーヒー体験を届けるかけがえのない存在となり、人々の心を豊かで活力あるものにするために、ひとりのお客様、この一杯、そしてひとつのコミュニティから」
  • 約束(Promises): パートナー、お客様、コーヒー農家、コミュニティ、環境、株主の6つの相手への約束
  • 価値観(Values): 「私たちの行動指針」として、5つ。CRAFT(思いをかたちにする)、RESULTS(成果に責任をもつ)、COURAGE(勇気をもって向き合う)、BELONGING(互いを理解し認め合う)、JOY(楽しむことを力に)

ここからは私の読みです。ミッションが、「世界」ではなく、「ひとりのお客様、この一杯」から始まっている。身近な大きさの言葉です。約束の相手に、お客様だけでなく、パートナー(従業員)、農家、環境、株主まで並べている点も、目に止まります。

3. ファーストリテイリングの公式の言葉

ファーストリテイリングの公式の構成:ステートメント、ミッション、価値観、行動規範

ファーストリテイリング(ユニクロ)の公式ページは、「FAST RETAILING WAY」として、次の4つで構成されています。

  • ステートメント: 「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」
  • ミッション: 2項目。本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供すること。独自の企業活動で、人々の暮らしの充実に貢献し、社会との調和ある発展を目指すこと
  • 価値観(Value): 4項目。お客様の立場に立脚/革新と挑戦/個の尊重、会社と個人の成長/正しさへのこだわり
  • 行動規範(Principle): 6項目。お客様のために、あらゆる活動を行う、など

公式ページは、ミッションは「何のために存在し、世の中に何をもたらそうとするのか」を示す理念、価値観は「意思決定の基準となる基本的価値観」、行動規範は「日常活動で特に心がけるべき行動のあり方」と、使い道を書き分けています。

4. 同じMVVでも、構成は違う

2社を並べると、構成の違いが見えます。

構成
スターバックス:ミッション・約束・価値観
ファーストリテイリング:ステートメント・ミッション・価値観・行動規範

ビジョンにあたる項目
スターバックス:公式ページに独立項目なし
ファーストリテイリング:公式ページに独立項目なし

行動の基準
スターバックス:価値観(5つ)
ファーストリテイリング:価値観(4つ)と行動規範(6つ)

どちらも、公式ページには「ビジョン」という名前の項目がありません。それでも、会社が何のために存在し、どう判断し、どう行動するのかが、言葉として分けて置かれています。MVVという形に当てはめることより、自社に必要な言葉を、使い道ごとに分けて持つことが大事だと、私は考えます。

▶ 関連記事:パーパスと経営理念の違いとは?

5. MVVを、4つの要素で読む

私は、ブランディングとは経営の全てであり、その活動であると考えています。MVVは、4つの要素のうち、哲学と組織をつなぐ言葉だと読みます。

  • 哲学: ミッションは、何のために存在するのか。会社の存在理由です
  • 組織: 価値観や行動規範は、社内の人が、同じ方向を向いて判断し、動くためのよりどころです。スターバックスの約束には、社外の相手まで含まれています
  • 戦略: どうすれば、戦わずに選ばれるか。MVVが決まると、選ばれる場所が決めやすくなります。逆に、戦略の現場で見えてきたことが、MVVの言葉を磨き直します
  • コミュニケーション: お客様に、どんな気持ちを抱いてほしいか。MVVが決まると、伝え方が決めやすくなります。お客様の反応から、MVVの言葉が磨かれることもあります

4つは双方向につながっています。現場で使った経験が、MVVの言葉を磨き直します。

戦わないブランディングの目で見ると、MVVは、他社と同じ土俵で戦うための標語ではなく、自社が選ばれる場所を、社員が共有するための言葉だと、私は考えます。

▶ 関連記事:売上で悩んでいる企業こそ必要な“戦わないブランディング”とは


中小企業のMVVの作り方

中小企業のMVVの作り方

会社の規模は、関係ありません。やることは同じです。

  • ミッション: 自社は、何のために存在するのか。一言で書く
  • バリュー: 社員が迷ったとき、何を基準に判断するか。数は少なく、短い言葉にする
  • 使い道を分ける: 「存在理由」と「判断の基準」と「日々の行動」を、別の言葉にして持つ
  • 使う: 会議や、判断の場で、その言葉に照らして話してみる。使った経験から、言葉を磨き直す

MVVは、額に入れて飾るものではなく、使われて、はじめて生きる言葉です。

福岡の中小企業のブランディングについては、福岡のブランディング会社のページで、考え方と進め方をまとめています。


よくある質問

Q. MVVは、3つ全部そろえる必要がありますか?

いいえ。スターバックスも、ファーストリテイリングも、公式ページの構成は違い、どちらにも「ビジョン」という名前の項目はありません。自社に必要な言葉を、使い道ごとに持つことが大事です。

Q. ミッションと、パーパスは、同じですか?

会社によって、使い方が違います。違いについては、関連記事を見てください。

Q. MVVは、何年ごとに見直しますか?

この記事では、期間は示しません。現場で使った経験から、言葉が合わなくなったと感じたときが、見直す機会です。


この記事は、公式ページをもとに、私の見方で読み解いたものです。

出典:スターバックス コーヒー ジャパン「Our Mission, Promises and Values」 /ファーストリテイリング「FAST RETAILING WAY」https://www.fastretailing.com/jp/about/frway/ /同 https://www.fastretailing.com/jp/about/frway/frway.html /創業手帳「ミッション・ビジョン・バリュー」https://sogyotecho.jp/mission-vision-value/

株式会社オムニモスーク 代表 安田旬佑