資金繰りが苦しいとき|答えは自分で切り開くしかない
この記事の結論
資金繰りが苦しいとき、その都合をお客様に回すのは、やってはいけない失敗です。私は一度、仕事の途中で「お金をください」と頭を下げました。全て自己責任。何としても生き残る。その信念は持ち続けたまま、答えは自分の会社の中で切り開く。苦しくなる前に、生き延びられる状態をつくっておくことです。
資金繰りが苦しいとき、そのしわ寄せをお客様に回してはいけない。生き残るための答えは、自分で切り開くしかありません。私は一度、それを間違えました。
仕事の途中で、「お金をください」と頭を下げた
ブランディングの仕事で、何度も失敗してきました。中でも、いまも苦く思い出すのが、この失敗です。
こちらは、すぐにお金をつくらないといけない。だから、早く仕事を進めようと、お客様に提案を何度も重ねました。仕事がまだ途中なのに、「お金をください」と頼んだこともあります。こちらのキャッシュフローの都合で、お客様に何度も頭を下げました。
やってはいけないことでした。
あのとき私に欠けていたのは、お客様が進化するスピードへの想像力です。会社が変わるには、その経営者自身が、変わることを必要としなければならない。組織には、慣性の法則が働いている。市場の大きさも、変化の速さも、すべてが関わっています。外からいくら急がせても、お客様は自分の速さでしか進めない。
それなのに私は、自分の会社の苦しさを、お客様の時計で解決しようとしていました。
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この失敗を振り返るとき、重ねて思い出す学びがあります。
2013年、私はニューヨークに支社を出し、移り住みました。同じ店で同じことを尋ねても、返ってくる答えがまったく違うことがありました。
そこで私が学んだのは、全て自己責任だということです。答えは、だれかがくれるものではなかった。自分で切り開いて、自分で答えを見つける。それが絶対に必要で、気づけば、それが私の力として身についていました。
振り返ると、お客様に「お金をください」と頼んだ私は、自分で引き受けるべき資金繰りの責任を、お客様に半分渡していたのだと思います。自己責任とは、相手を突き放す言葉ではありません。苦しさを、自分の手で引き受けるという、自分への厳しさのことです。
変えなかったのは、「何としても生き残る」という信念

長く続いている会社を見ていると、商品は、時代に合わせて何度も着替えています。それでも変えなかったものがある。私はそれを、何としても生き残るという信念だと考えています。
この信念は、いまも私の中にあります。ただし、生き残るためなら何をしてもいい、という意味では決してない。
利益には、良い利益と悪い利益があります。分かれ目は、お客様が喜んだかどうかです。お客様の喜ばない利益を追っても、会社は生き残れない。お客様に無理を強いて手にしたお金は、目先の資金繰りを助けても、会社の明日を削っていきます。
お金の苦しさを、隠さない
誤解のないように書いておきます。お金の話を避けるつもりはありません。
儲けることさえままならない会社で、心ばかりが高まるはずはない。私はそう考えています。会社は、利益を上げなければ成り立ちません。利益を上げることは、恥ずかしいことでも、人の道に外れたことでもない。堂々と、正しく、利益を追えばいい。
稲盛和夫さんに学んだ考え方で、値段を決めることは、社長が担う経営そのものだと私は考えています。お客様も喜び、自社も利益が出る一点を探す仕事です。
仕事の途中でお金を頼むのは、その逆でした。お客様の喜ぶ一点を探す前に、自分の都合を先に置いた。お金の苦しさそのものより、苦しさの扱い方を間違えたのです。
生き延びられる状態を、先につくる
では、いまの私は、苦しいときにどうするのか。
一つは、すべての調和を図りながら、事業と組織をどう動かすかを考えることです。お客様の進む速さ、組織の慣性、市場の変化。その全部を見たうえで、自分の打つ手を決める。
もう一つは、苦しくなる前の備えです。私たちのような中小企業が生き残るには、小さな市場を押さえながら、少しずつ大きくしていくことが大事だと考えています。一気に広げて大きな投資をすると、縮むときに身動きが取れなくなる。問題が起きても生き延びられる状態を、先につくっておかなければならない。
稲盛和夫さんに学んだ考え方で、私は、追い込まれてから力を出すより、余裕のあるうちに全力を出すことを心がけています。資金繰りも同じです。苦しくなってから動くのでは、打てる手が限られる。余裕のあるうちに、次の手を打っておく。
資金繰りの答えは、お客様の財布の中にはありません。自分の会社の中にあります。
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最後に
お金の苦しさは、経営者なら誰でも通る道です。私も通りました。そして一度、その苦しさをお客様に回してしまった。
だからこそ、いまははっきり言えます。何としても生き残る。その答えは、自分で切り開く。苦しいときほど、お客様の喜ぶ仕事に戻り、生き延びられる会社を自分の手でつくる。それが、あの失敗から私が手にした、いちばんの財産です。
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