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立体商標とは?ヤクルトに学ぶ、容器の形が「思い出すための引き金」になる理由

この記事の結論
立体商標とは、商品や容器などの立体的な形を、商標として登録したものです。ヤクルトの容器の形は、2011年に立体商標になりました。さらに2018年には、ヤクルトレディによる宅配サービスが、日本サービス大賞で経済産業大臣賞を受けています。形と、届ける人。 この2つが、他社がすぐにはまねできない、ヤクルトのブランドをつくっていると、私は読みます。

ヤクルトの容器は、文字が読めなくても、何の飲み物か分かります。いつも家に届けてくれる人がいるのも、あの小さな容器のそばにある日常です。

乳酸菌飲料の会社が、形と、届ける人で評価されている。この会社の歩みを、公式サイトの言葉をもとに、ほめる気持ちと学ぶ気持ちで読みます。


1. 立体商標とは

立体商標とは、商品や容器、店舗の外観といった、立体的な形そのものを、商標として登録したものです。ロゴや文字だけでなく、形も、その会社のしるしとして守ることができます。

2. ヤクルトの公式の沿革

形と届ける人:2008年ロングライフデザイン賞、2011年立体商標登録、2018年日本サービス大賞(公式の沿革より)

ヤクルト本社の公式サイトの沿革から、主なものを並べます。

1930年
できごと:創始者・代田稔が、人の健康に役立つ乳酸菌の強化・培養に成功(乳酸菌 シロタ株)

1935年
できごと:「ヤクルト」の製造・販売を始める

1963年
できごと:ヤクルト独自の婦人販売店システムを導入

1972年
できごと:ヤクルトレディによる「愛の訪問活動」を始める

1994年
できごと:「愛の訪問活動」が、ボランティア功労者として厚生大臣表彰を受ける

2008年
できごと:「ヤクルト」が、グッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受ける

2011年
できごと:ヤクルト容器の形状を立体商標登録

2018年
できごと:第2回日本サービス大賞で、「ヤクルトレディによる宅配サービス」が経済産業大臣賞

企業理念は「私たちは、生命科学の追究を基盤として、世界の人々の健康で楽しい生活づくりに貢献します。」です。

3. 始まりは、予防医学だった

公式サイトによると、創始者の代田稔は、病気にかかってから治療するのではなく、病気にかからないようにする「予防医学」を志しました。そして、世界の人々の健康を守りたい、と考えた。ヤクルトは、この創始者の考えを「代田イズム」と呼び、すべての事業の原点にしています。

病気にならないための飲み物は、毎日飲んでもらわなければ意味がありません。一度買ってもらって終わりでは、志が果たせない。ここに、この会社の売り方の理由があると、私は読みます。

4. 届ける人が、商品の一部になった

1963年に、ヤクルトは独自の婦人販売店システムを入れました。1972年には、ヤクルトレディによる「愛の訪問活動」が始まります。そして2018年、そのヤクルトレディによる宅配サービスが、日本サービス大賞の経済産業大臣賞を受けました。評価されたのは、飲み物そのものより、届けるサービスでした。

ここからは、私の読みです。乳酸菌飲料は、ほかの会社もつくっています。けれど、毎日、顔の見える人が届けてくれる仕組みは、すぐにはまねできません。

私は講義で、自分たちの展示会の事業について、こう話したことがあります。ヤクルトレディのような人を育てて、その人たちが販売してくれるネットワークをつくれたら、輪がどんどん広がっていく、と。人が届けるネットワークは、それ自体が事業を広げる力になります。

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5. 「シェフとキッチン」で読む

シェフは行う、キッチンは持つ

私は、ブランドを「シェフとキッチン」で説明します。シェフは、他社と違ったことを「行う」こと。ポジショニングです。キッチンは、他社と違ったものを「持つ」こと。組織の能力です。シェフの腕は、見ればまねされることがあります。キッチンは、外から見えにくく、まねできません。

ヤクルトの場合、毎日、人が家まで届けるという、他社と違ったやり方がシェフです。それを支えるヤクルトレディの仕組みと、1963年から60年以上かけて積み上げてきたお客様との関係が、キッチンです。他社が明日から同じことを始めても、同じものは持てません。

6. 容器の形が、思い出すための引き金になった

私は、ロゴはブランドではない、と言っています。ロゴは、お客様の頭の中にある評判や印象を、思い出させるための引き金です。ヤクルトの容器は、文字が読めなくても、形を見ただけで、何の飲み物かが分かります。形そのものが、引き金になっている。2008年にロングライフデザイン賞を受け、2011年には、その形が立体商標になりました。

引き金は、何十年も変えずに使い続けたから、引き金になりました。

7. 4つの要素で読む

ここからも、私の読みです。4つの要素は、双方向につながっています。

  • 哲学: 代田イズム。病気にならないように、世界の人々の健康を守る
  • 組織: ヤクルトレディ。哲学が、毎日飲んでもらうことを求めた。だから、毎日届ける人が要った
  • コミュニケーション: 届ける人との会話と、容器の形。人が直接お客様と話し、形が棚の上でお客様に思い出させる
  • 戦略: そのつながりの上にあります。届ける人と、まねできない形を持っていること自体が、他社と同じ土俵で戦わずにすむ理由になっています

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自社でいちばんお客様に会っている人は、だれか

自社でいちばんお客様に会っている人は誰か

会社の規模は、関係ありません。やることは同じです。

  • 自社の商品は、だれが、どんなふうに、お客様に届けているかを書く
  • 自社でいちばんお客様に会っている社員を、1人思い浮かべる。 その人が、お客様と何を話しているか
  • それを、社長が知っているか確かめる。 そこに、自社のキッチンがあります

商品の中身は、いつかまねされます。まねされにくいのは、届ける人とお客様の間に積み上がった時間です。

地域の中小企業のブランディングについては、ブランディング会社のページで、考え方と進め方をまとめています。


よくある質問

Q. 立体商標とは、何ですか?

商品や容器などの立体的な形を、商標として登録したものです。ヤクルトの容器の形は、公式の沿革によると、2011年に立体商標として登録されています。

Q. 「容器の形が引き金になった」は、公式の言葉ですか?

いいえ。公式の記載は、2008年の受賞と、2011年の立体商標登録までです。引き金という読みは、私の見立てです。


この記事は、ヤクルト本社の公式サイトをもとに、私の見方で読み解いたものです。

出典:ヤクルト本社「沿革」 /同「企業理念」https://www.yakult.co.jp/company/about/philosophy/
計算:1963年から2026年まで=60年以上(筆者)。

株式会社オムニモスーク 代表 安田旬佑