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PEST分析とは?やり方・テンプレート・例をわかりやすく解説

会社の努力ではどうにもならない変化がある。それを先に読むのがPEST分析だ。

ここではPEST分析について詳しく掘り下げていきたいと思います。多くの方はPEST分析について聞かれたこともあると思いますし、実際に活用しているという方もいらしゃると思います。PEST分析を用いることで、広く様々な視点をもって観察し、正しい意思決定の確率を高める助けとなります。

良いビジネスのヒントを思いついたとしても、必ずしも実現できるとは言い切れません。外部の環境がどれだけ自社にとって追い風であるか、または向かい風であるかを知ることは、早い段階から把握しておかなければなりません。それは、事業推進において不確定要素をなくしていく作業であり、事業を成功させるためには必要なステップであるからです。

PEST分析はマクロ環境を分析するためのフレームワークです。ダラダラとそれぞれのP、E、S、Tを調べても意味がありません。コツは調べたいものの答えを探すということだと思います。漠然と環境を閲覧するのではなく、調べたい情報があなたにとってプラスに働くかマイナスに働くかを知ることが大事です。つまり、意図することが重要なのです。フレームワークは穴埋め作業では有りません。ロジカルに考えるためのツールであり、方向性でもあります。分析ツールは、情報を収集し、蓄え、加工し、使うために存在することをどうぞお忘れなく。今回は、あなたがPEST分析を自分の武器にできるように、ぜひスキルとして身につけていただきたいと思います。

PESTとは、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の頭文字

PEST分析:4つの外部環境|Politics:政治、Economy:経済、Society:社会、Technology:技術

さて、PESTとは、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の頭文字をとったものですが、それぞれの切り口で分析するフレームワークになります。企業を持続するためには、外部環境の変化に対応していかなければならないことは周知のとおりです。例えば、テロや地震、新型ウィルス、リーマンショックのような経済危機など、企業というものは予期せぬ出来事に常にさらされていることを理解すべきです。確かにこれらは予期できないことかもしれません。しかし、本来予期できたものでさえも考えもしなかったということはないでしょうか?そのハザードや変化を身近なものとして把握しておくことは大切なことだと思います。

1、Politics(政治)

Politics:政治|政治や規制は、市場のルールを変える。

もしあなたが中国への事業展開を検討されているのであれば、強力な政治家を味方にすることは最も重要なことかもしれません。あなたの会社が11月のアメリカの大統領選の結果から影響を受けることはありませんか?自民党が民主党に政権を取って代わられたとき、あなたはどんな影響を受けましたか?これらは目に見える大きな出来事ですが、あなたの新規事業は法律の規制の対象になっていたりしませんか?これらのように政治的な影響や規制が市場のルールに影響を与えることはよくある話です。

・政治動向
・法律、法改正(規制・緩和)
・税制、減税・増税
・政治、政権交代
・政治団体、デモ
・補助金、助成金
・ガバナンス
・外交
・商工会の動向

いかがでしょうか。あなたの仕事が政治とは関係ないと思われる方もいるかも知れませんが、政治を味方につけることは事業発展のためには必ず必要だと思います。TPP(環太平洋連携協定)はまさに政治の影響を受ける可能性のある人もいた事と思います。目には見えないけれども、きちんと分析することの重要性をお伝えしたいと思います。

2、Economy(経済)

Economy:経済|売上やコストに、直接影響する。

PEST分析の経済要因についてです。日本の経済成長率はどのくらいかご存知ですか?また国の借金がどれくらいだと思いますか?またオリンピックに向けて盛況な産業はどんなものだと思いますか?日本は貿易黒字国家ですが、あなたの事業にどんな影響があると思いますか?PESTの経済的な要因はあなたの売上やコストにダイレクトに影響のあるものがあるとお考えください。

・景気動向
・賃金動向
・物価動向
・消費動向
・為替
・金利
・株価
・消費者心理

日本の国内総生産は546兆円でした。これは、アメリカ、中国に続く世界第3位です。アメリカの1900兆円、中国の1200兆円と比較しても大きく差が開いています。ところが、一人あたりの名目GDPは25位となってしまいます。日本だけでは有りませんが、アメリカも中国も人口によって経済大国としての基盤が作られています。

PEST分析のSociety(社会)とも関連してきますが、今後日本人の人口が減っていった際、日本の経済がどの様になるかあなたはどんな想像をしていますか?あなたのお仕事にどのような影響がありますか?業績が下がると考えるか、生産性を上げていく努力をしていくか、それとも別の選択を行うか。PEST分析というものは、外部環境の分析の目をもたせてくれます。大事なことはあなたがどんな意思決定を行うか、ではないでしょうか。Economy(経済)の環境を理解しながら、未来を切り開いていくビジネスモデルの構築や人材を育てていきたいものですね。

3、Society(社会)

Society:社会|社会の変化や動向も、ビジネスに影響する。

社会的な変化や動向も同様にあなたのビジネスに影響を与えているはずです。例えば社会的変化によって生まれたビジネスでいえば、介護事業はそうだと思いますし、人材紹介事業なども大きく影響を受けていると思います。人口が減ることによって、また人口減により地方が廃れてしまった結果、ふるさと納税や地方創生などの事業が注目を集めているのではないでしょうか。

また世界を見れば、人口が増えることによる食品ロスの問題、環境への負荷なども無視できないものになっています。リニアモーターカーなどの環境や宇宙ビジネスの進歩もまさに時代の真ん中で変化を目の当たりにしています。他人事だと思っていることが身近に起こっていることとして考えることができれば、違った視点で今の事業を見直すことができるはずです。

・人口動態
・社会インフラ
・ライフスタイル
・社会事件
・流行
・世論
・教育水準
・治安・安全保障
・宗教・言語
・自然環境

ポジティブに影響の出るものと、ネガティブに影響を受けるものがあると思います。特に日本と海外の状況は異なっていますので、フラットな視点で状況判断することができればと思います。世の中の社会問題と言われているものは、全て人の手によるものです。であれば、人の手で解決ができるようなビジネスを創造していくことも私たちの使命であるといえます。

4、Technology(技術)

Technology:技術の例|人工知能、ブロックチェーン、量子コンピュータ、宇宙、自動運転

特に最近私たちが生活の中で、Technology(技術)の最たる恩恵を受けているものとして、インターネットやスマホが上げられます。全く生活が一変しましたが、誰がここまでの変化を創造していたでしょうか。インターネットやスマホを支える多くの目に見えない技術があればこそなのですが、現代のビジネスに於いてテクノロジーの影響は外して考えることは全くできなくなりました。産業革命からものづくりのための製造技術は進化を繰り返してきましたが、情報革命の時代においてはさらに社会がテクノロジーの土台の上に成り立っていることを感じさせてくれます。

細かなことを言うともっとテクノロジーも分類ができます。人工知能やブロックチェーン、量子コンピュータ、宇宙、自動運転などなど。技術の革新は多くの産業のイノベーションの土台となっていることも多いと思われませんか?今でこそ生活に根付いているスマホでさえも革新的なものだったのですから。

・国内・海外の普及デバイス
・新技術の発展と浸透
・知的財産の保有状況(特許等)

産業の構造が変化するのは、テクノロジー起点のものが多いと考えるのは私だけではないと思います。ここだけの話ですが、カカオ関連のお仕事をしていますが、保存技術の進化によりカカオを熟成させることができれば、10年もののカカオでできたチョコレートといった新商品も可能になるわけです。どうぞテクノロジーの進化は個人的には面白いと感じることが多々ありますので、あなたが何か面白い技術をご存知であれば、ぜひ教えていただければと思います。

PEST分析のやり方|4つの手順

1. 何年先を見るかを決める
PEST分析は、いまの話ではなく、これから3〜5年で変わることを見る道具です。まず「何年先までを考えるか」を決めます。

2. 4つの箱に、事実を書き出す
政治・経済・社会・技術の4つの箱に、新聞やニュース、国や自治体の統計で確かめた事実を書きます。「たぶん」「〜らしい」は書きません。出どころのある事実だけです。

3. 事実を「追い風」と「向かい風」に分ける
同じ事実でも、会社によって追い風にも向かい風にもなります。人手不足は、人を雇う会社には向かい風でも、省力化の機械を売る会社には追い風です。

4. 自社への影響を、1行で書く
最後に、「だから自社は何をするか」を1行で書きます。ここまで書いて、はじめて分析が経営の判断に変わります。

PEST分析のテンプレート

次の4つの欄を、そのまま使えます。

Politics(政治)
事実(出どころ):法律・制度・補助金・規制の変化
追い風/向かい風:
自社への影響(1行):

Economy(経済)
事実(出どころ):物価・金利・為替・賃金の動き
追い風/向かい風:
自社への影響(1行):

Society(社会)
事実(出どころ):人口・世帯・働き方・価値観の変化
追い風/向かい風:
自社への影響(1行):

Technology(技術)
事実(出どころ):新しい技術・仕組み・道具
追い風/向かい風:
自社への影響(1行):

PEST分析の例|地方の家具メーカーで考える

説明のための例です。数字は、必ず公的な統計で確かめてから使ってください。

  • 政治:住まいの省エネや改修を後押しする制度が出てきた → 追い風。リフォームに合わせた家具の提案ができる
  • 経済:材料や輸送の費用が上がっている → 向かい風。値上げの理由を、お客様に先に伝える必要がある
  • 社会:一人暮らしや小さな世帯が増えている(国勢調査で確かめる)→ 追い風にも向かい風にも。大きな家具より、小さく長く使える家具が求められる
  • 技術:ネットで家具を選んで買う人が増えた → 追い風。職人の手仕事を、写真や動画で伝えられる

ここから出てくる自社への1行は、たとえば「小さな住まいで長く使える家具を、つくり手の顔が見える形で、ネットでも届ける」です。

▶ 関連記事:あなたの事業の本当の課題は3C分析から見えてくる

私の見方|PEST分析は、孫子の「天地」である

私は講義で、PEST分析を孫子の兵法から説明しています。孫子は、戦う前に、敵と比べて「天地」を見よと言いました。環境と条件が、戦いに有利かどうかです。

PEST分析は、その「天地」を見る道具です。私の講義では、環境分析、戦略立案、施策立案の順に組み立てます。

PEST分析でマクロ環境をつかみ、ファイブフォース分析で業界を、3C分析で競争を見る。そのうえでSWOT分析で機会と課題をはっきりさせ、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングへ進みます。

▶ 関連記事:業界の見えない力学を知るための「ファイブフォース(5F)分析」

戦わないブランディングは、強い相手とぶつからない場所を選ぶところから始まります。PEST分析は、その場所を探すための、最初の地図です。

▶ 関連:ファイブフォース分析(5F分析)とは?やり方とコンビニの例
▶ 関連:3C分析とは?顧客・競合・自社から本当の課題を見つける使い方
▶ 関連:セグメンテーションとは?STP分析の最初の一歩

PEST分析まとめ

PEST分析の目的|外部環境の変化に、対応し続けるために。

PEST分析いかがだったでしょうか。ぜひご活用いただき、あなたの会社にとってPESTがプラス要因に働くか、マイナス要因に働くかを客観的に見ていただければと思います。個人的には、時間軸というものもあって良いのかもしれないと思います。1週間、3ヶ月、半年、1年、3年とどんな予測ができるか、そして、事業のスピード感やタイミングというものを推し量ることも同時に進められるのかなと思います。横軸にPEST分析、縦軸に時間という意味で外部環境を予測していくとさらに事業にフィットさせることができるように思います。

フレームワークを使うことって左脳的に思われるかもしれませんが、フレームワークを自在にカスタマイズする前提で考えていただきたく、右脳もどんどん使っていきましょう。昨今は世の中のスピード感というものは変化が目まぐるしいため、予測困難な時代であることは間違いありません。そのため、本来の人間としての勘を生かすことも大事です。例えば、今後ブロックチェーンがどのような影響を事業に与えるかなんて、読みきれるものではないと思います。しかし、3ヶ月後と1年後では何かしらの違いがあることは間違いないといえるでしょう。PESTというものは環境分析ツールですが、より具体的に事業に影響を与えうる兆しを読み取っていただければと思います。